研究課題
基盤研究(A)
就業者のどのような報酬格差が、妥当なものとして受容されているのか、それを正当化しているメカニズムについて、就業者の職業・性別等に関わる日本企業の雇用慣行や熟練形成制度、性別役割分業意識の諸「カテゴリー」の特質や、望ましい報酬配分に対する「規範意識」等の国際比較調査によって解明する研究である。主流派の経済学や心理学的研究による個人還元的な視角からの説明とは異なる、日本社会の雇用・教育・生活保障システムが関わる報酬格差の維持・再生産の構造に迫りうる学術的意義がある。国際比較調査には、各国の制度の歴史的・社会的特質を踏まえた、格差の受容・正当化メカニズムを解明する基礎的な研究の進展が期待される。