研究課題
基盤研究(A)
人口構造の変動を背景に転換を迫られている社会福祉の供給のあり方を、高齢者ケアに焦点を当てて検討する。民生委員の理論的歴史分析、現在の民生委員の高齢者ケア活動の調査・分析、海外の福祉ボランティアとの比較を通じて、持続可能な社会福祉供給システムを構築する方法を福祉ボランティアの視点から提示し、福祉ボランティアの原理の理論化を試みる。民生委員制度の歴史的再検討を踏まえつつ、ボランティア研究の革新をめざす企図は興味深く、公共政策への貢献可能性も高い。当該課題が問う「自発的な活動を構成要素に含めたシステムが、構造変動の中でも持続可能であるのか」という命題は、現在の日本社会における根本的な問いであり、意義深い。5地域の民生委員の全数調査による実態把握の結果は資料としての価値があると考えられる。