研究課題/領域番号 |
20H00101
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 雄一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60418530)
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研究分担者 |
松本 吉央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (00314534)
熊崎 博一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 室長 (70445336)
上出 寛子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (90585960)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 対話ロボット / 遠隔操作型ロボット / 発達障害 / 対話支援 / 交流支援 |
研究実績の概要 |
研究全体としては,人々と対話し続ける自律型ロボットと、操作者をコミュニティに接続する対話システムを開発、そして、発達障害者のコミュニティの交流支援の実証に取り組む。2021年度では、自律ロボットの基本機能と対話支援機能を持つ遠隔対話システムの開発、発達障害者を支援するためのロボットを用いた対話環境の構築を中心に取り組んだ。 自律型ロボットの基本機能の開発に関して、個人の経験を収集しながら、SNS上で長期間にわたって人と対話し続けるエージェントの開発を引き続き行ない、4名の知り合いを1グループとした百名規模の 2週間に及ぶ実証実験を実施した.また,グループ内の第三者の経験に関する発言内容を話題として人と対話できるアンドロイドを開発し,自律型対話ロボットが交流支援効果を持つ可能性を示す実験室実験を実施した. 対話支援機能を持つ遠隔対話システムに関して、遠隔操作者(主対話者)が操作するロボットの話し相手となるロボットの対話提供機能の開発と,これによる交流支援機能の予備的調査を行った.具体的には,主対話者が話しかけることで,主対話者が計画したシナリオに対応する階層構造の質問生成ができる対話システムを開発し,小学校の理科の授業において主対話者となる教員の授業進行支援効果を持つ可能性を示した.さらに遠隔地の主対話者の心的状態表現を支援する表現機能や主対話者の発言のプレッシャーを低減するための陪席ロボットへの発言分担機能の開発にも取り組んだ. 発達障害者を支援するためのロボットを用いた対話環境の構築に関し,3体の対話型ロボット型アバターを用いて発達障碍者同士が受験者と面接官役を務めるロールプレイ型の就職面接対話練習ができる環境を構築した.また遠隔地に陪席ロボットを伴う遠隔対話システムにおいて,陪席ロボットを伴うことが対話やアイコンタクトに対する不安を緩和する効果を持つ可能性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボットシステムを試作し,人間理解および交流示唆のための対話機構や対話支援機能を持つ遠隔対話システムの研究開発を順調に進められており,2週間におよぶ実証実験を実施するなど,その評価にも順調に取り組むことができている.また新型コロナウィルス感染拡大による行動制限の中でも,ヴァーチャルリアリティ型のロボットを用いた対話環境を用いることで,発達障碍者の支援を目的とした実証実験にも継続的に取り組むことができている.
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今後の研究の推進方策 |
ロボットシステムの改良をさらに進めていく。またオンライン環境を利用した開発・実験も引き続き並行的に実施し、新型コロナウィルスの感染拡大が続く状況に対応しながら、システムの評価および、発達障碍者のフィールドにおける実験を進めていく。
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