研究課題/領域番号 |
20H00102
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岩田 欧介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30465710)
|
研究分担者 |
岡村 尚昌 久留米大学, 付置研究所, 准教授 (00454918)
國吉 康夫 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10333444)
永田 雅子 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 教授 (20467260)
藤岡 一路 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20568810)
日下 隆 香川大学, 医学部, 教授 (50274288)
有光 威志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60383840)
荒木 由布子 静岡大学, 情報学部, 教授 (80403913)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 言語 / 刺激 / 母体 / 高次脳機能 / 認知 / 発達 |
研究実績の概要 |
本研究は,母親の歌や語り掛け・読み聞かせを編集加工・最適化し,生後早期から早産児に聞かせることによって,遠隔期の言語・認知機能が改善するかを,短期脳科学ツールと長期言語認知発達評価から詳細に検討するプロジェクトである.多施設での症例集積を予定していたが,Covid19パンデミックによる制約から,研究分担者には,施設ごとに関連研究の実施を依頼している.名古屋市立大学では,2020年度から症例のリクルートメントを予定していたが,倫理審査・機器整備にも大幅な遅れが生じた.症例リクルートメントを予定していた産科・新生児病棟では,保護者の面会も終始強く制限されていたため,入院児におけるポリグラフの繰り返し計測は不適切と判断し,初年度内に研究を開始することはできなかった.一方で倫理委員会の承認と計測機器の準備は整い,母親の語り掛けや読み聞かせを録音・加工するアルゴリズムも確立されたため,Covid19の発症状況が下火になるのを確認し次第,症例リクルートメントを開始したい.研究分担者のうち,データ解析を担当予定の東京大学・静岡大学・香川大学・久留米大学では,2年度以降に必要な解析アルゴリズムの確立・ハードウェアの整備・アッセイ系の確認および消耗品の調達を済ませている.神戸大学・慶応義塾大学の研究分担者は,新生児脳波を用いて遠隔期の高次脳機能を予測するプロジェクトを立ち上げるために,ハードウェア等の整備を完了し,Covid19の終息を待っている状況である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,母親の歌や語り掛け・読み聞かせを編集加工・最適化し,生後早期から早産児に聞かせることによって,遠隔期の言語・認知機能が改善するかを,短期脳科学ツールと長期言語認知発達評価から詳細に検討するプロジェクトである.多施設での症例集積を予定していたが,Covid19パンデミックによる制約から,研究分担者には,施設ごとに関連研究の実施を依頼している.名古屋市立大学では,2020年度から症例のリクルートメントを予定していたが,倫理審査・機器整備にも大幅な遅れが生じた.症例リクルートメントを予定していた産科・新生児病棟では,保護者の面会も終始強く制限されていたため,入院児におけるポリグラフの繰り返し計測は不適切と判断し,初年度内に研究を開始することはできなかった.一方で倫理委員会の承認と計測機器の準備は整い,母親の語り掛けや読み聞かせを録音・加工するアルゴリズムも確立されたため,Covid19の発症状況が下火になるのを確認し次第,症例リクルートメントを開始したい.研究分担者のうち,データ解析を担当予定の東京大学・静岡大学・香川大学・久留米大学では,2年度以降に必要な解析アルゴリズムの確立・ハードウェアの整備・アッセイ系の確認および消耗品の調達を済ませている.神戸大学・慶応義塾大学の研究分担者は,新生児脳波を用いて遠隔期の高次脳機能を予測するプロジェクトを立ち上げるために,ハードウェア等の整備を完了し,Covid19の終息を待っている状況である.
|
今後の研究の推進方策 |
分担者と相補的な研究が可能になるよう,逐次ウェブ会議で情報共有する.Covid19による病棟面会制限が緩和され次第,臨床研究を開始する.在胎33週未満で出生した児を,保護者の同意後に,従来環境群と言語刺激群に振り分ける(240症例中60例の集積を目標とする).母親から児への語り掛け・読み聞かせ・歌を録音し,音声部分が1時間に12分,最大40dbになるように加工する.日齢8から修正36週まで,介入群では8:00-20:00の間保育器内で再生する.開始3日間(日齢8-10),以後修正36週まで7日ごとに,児の動画を撮影し,同時に1.保育器内の音声と音圧,照度,呼吸・心電図・動脈血酸素飽和度,2.簡易脳波と体動計,3.看護ケア情報(授乳・おむつ交換・採血などの時間と睡眠覚醒状態)を24時間記録する.音声データから1時間ごとの単語数を計測する.在胎38週相当で,児の動睡眠中に,対照群・介入群の全児に1.母親の録音言語,2.母親以外の女性の録音言語(共通音声)を聞かせ,前頭・側頭部の近赤外線分光法情報を収集し,前頭葉・側頭葉の酸素化・還元型ヘモグロビンの変化を積算記録する.退院時には自動聴性脳幹反応と頭部MRIを評価する.退院後の評価:日中を中心とした録音言語の再生が,児の夜間睡眠確立に与える影響を評価するために,出生予定日から2か月で保護者による睡眠日誌および体動を自宅で72時間記録する.修正18か月と満3歳でBayley式発達評価による認知・言語発達評価(主要評価項目)を行う. データ解析:生体情報・音圧・照度の時系列データを,主要・副次評価項目(言語への反応,MRI,概日周期,自閉症スペクトラム障害・注意欠陥・多動性障害,3歳の発達)を従属変数とし,介入,臨床背景,呼吸心拍,心拍変動の揺らぎ,照度,音圧,言語刺激量,睡眠覚醒状態を独立変数とした重回帰モデルを作成する.
|