情動の生理的起源に関する古典的論争に改めて目を向け、最新技術を用いた実証研究を通じて回答を見出すことを目指す研究である。サルを被検体とし、行動(表情筋の変化や眼球運動等)として表出した情動と、その際に生じているさまざまな脳領域における神経活動を計測・解析することにより、情動を生み出す神経回路の構成と回路上で行われている情報処理の動態を検討する。 神経トレーシング技術や電気生理学的測定技術などを駆使することで、かつては不可能だった多面的・網羅的なデータ収集を行い、情動に関わる神経回路網の総体を明らかにしようとする計画は意欲的で、情動理論の再構築に向けた可能性をもつ。
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