研究課題
情動にかかわる神経回路の構成の解析については、内側前頭皮質と、側坐核、扁桃体や、中心灰白質をめぐる神経回路の詳細を明らかにした。すなわち、内側前頭皮質から側坐核および中心灰白質に対しては、トポグラフィックな投射があるのに対して、扁桃体に対しては、BLA核、および、BMA核に対して、収束的な投射があることが明らかになった。また、通常、大脳皮質から皮質下への投射は深層から起始するのが一般的であることが知られているが、前部帯状皮質膝前部(pgACC)から扁桃体 BLA核への投射は、浅層(2/3 層)から起始していることが見いだされ、この特殊な投射の役割を解明することが重要であることが示唆された。情動や社会行動にかかわる神経活動の記録については、これらの解剖学の解析結果を踏まえ、皮質表面電極を、前頭前野背外側部および、内側前頭皮質全域に、深部電極(多点)を、側坐核および扁桃体に留置することに決定するとともに、電極の設計やインプラント術など、技術的な問題を検討した。行動課題については、単独および対戦型の課題条件下で、改変ブリンクマンボードからのサツマイモ片の摘まみ取りに持続的に取り組むよう、サルを訓練するとともに、これらの課題にかかわる行動データをビデオ映像の評価によって、定量化するための解析パイプラインを構築した。多点電極から記録した神経活動データの分析については、ノイズキャンセリングなどの前処理とともに、さまざまなネットワーク解析手法について、プログラムの作り込みを行った。
2: おおむね順調に進展している
神経回路の解析については、大きな進展があった。情動や社会行動にかかわる神経活動の記録については、電極の設計やインプラント術など、技術的な問題をクリアして、計画3年目に複数の脳領域からの神経活動を大量に取得し、系統的な解析をするための道筋がついた。
神経活動データの取得・解析作業に注力するための体制を整えた。とくに、解析作業については、あらたに神経活動データの数理解析の専門家に研究グループに新たに参画いただき、高度な解析法を組織的に用いていくことにしている。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 4件、 招待講演 7件)
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