研究課題/領域番号 |
20H00108
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90317272)
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研究分担者 |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00190728)
寺澤 悠理 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (30585790)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 身体症状症 / 自律神経予測処理 / 内受容感覚 / 不安障害 / 感情 |
研究実績の概要 |
本研究では,身体症状症(身体表現性障害)を対象とし,慢性疼痛をはじめとする症状発生の背景にあるメカニズムを探ることを目的としている.臨床場面では,程度の差はあるものの,対象となる疾患は相当数に及んでおり,多くの患者がドクターショッピングなどの状態にあり,その原因の解明が急務な状態にある.これまでの身体症状症の研究では「心ー脳ー身体」の三方向から統合的に理解しようとする試みが不十分であったため,本研究では,症状の発生に深く関与する3つの要因,すなわち,身体レベルの自律神経予測処理機能,内受容感覚の正確さ,思考の歪みをはじめとする認知特性に着目し,各要素について詳しく調べる課題を用いて検討することを目的とする.2022年度は,症状の背景にある認知特性について調べるため,健常者および身体症状症患者を対象とし,思考の歪みを調べる課題,痛みの程度を調べる生理課題,主観的感情と身体感知に関する課題,内受容感覚を詳細に調べるための複数の課題,および複数の性格特性などの個人差を調べる質問紙などを実施した.課題遂行中には,連続血圧計などを用いて,自律神経の詳細な変化を同時に計測し,気圧の変化に伴う反応傾向を調べ,これを各種質問紙,および痛みの程度との関連性について継続的に検討した,その結果,気圧に対する反応として,参加者を3パターンに分ける必要があることが判明し,その各グループに分けた解析を実施する必要性が見えてきた.そして,それらは自律神経の反応特性と密接な関係があることがわかり,本人には気づかれないうちに,気圧をはじめとする環境変化の影響を受けていること,そしてそれが認知特性に影響を及ぼし,症状発生に結びつく可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は,新型コロナウィルス感染症の影響により,計画通りに進められなかったが,その後は急速に進行程度を回復させることができ,概ね,遅れを取り戻すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
仮説を支持するデータが複数得られており,次年度も継続して実験を実施する予定である.今後,各課題のデータ解析および課題間の統合的なデータ解析を進め,治療指針に結び付けられるようなモデル構築を目指して推進させる.
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