研究課題/領域番号 |
20H00111
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小木曽 啓示 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40224133)
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研究分担者 |
川口 周 同志社大学, 理工学部, 教授 (20324600)
高木 俊輔 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40380670)
藤野 修 京都大学, 理学研究科, 教授 (60324711)
權業 善範 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (70634210)
川又 雄二郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別教授 (90126037)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己射のエントロピー / 自己写像力学次数 / 代数多様体の実形式 / Slow dynamics / 捻じれ斉次座標環 |
研究実績の概要 |
2021年3月に開催予定していた国際研究集会計画にNCTS "Higher Dimensional Algebraic Geometry Minicourses and Workshop"があった。研究分担者である川又雄二郎氏とNCTSのJunkai Chen氏、フィールズ賞受賞者であるCaucher Birkar氏との4名を組織委員とし、講演者は全世界から20名を超える大規模な計画であったが、コロナ禍により2年間の延期を余儀なくされた。2023年度3月にほぼ当初と同じ規模で対面開催に至ることができたことは最大の成果のひとつであった。また、この研究集会に前後して、研究集会の主講演者であり、論文BCMHで名高いPaolo Cascini氏を、東大に当該研究費による滞在費補助のもと招聘した。Paolo Cascini氏の共同研究者であり、当該研究分担者である權業善範氏主催の下で、最新の話題である高次元代数多様体の葉層構造の極小モデル理論に関する2回の講演をお願いできたことも重要な実績のひとつである。 出版においては、当該研究計画のひとつの動機付けにもなった論文"Minimum positive entropy of complex Enriques surface automorphisms"(Xun Yu氏との共同研究)を国際一流誌であるDuke Math. J.から出版し、共著者の大学のホームぺージで大々的に宣伝されるなど研究成果発表においても一定の成果を得た。また、代数多様体のSlow dynamics、代数多様体のSlow dynamicsと代数多様体の(非可換)捻じれ斉次座標環や代数多様体の実形式の非有限性に関する研究にも共同研究の形で着手できたことは、当該研究における次年度以降の研究及び国際共同研究につながる重要な成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はコロナ禍により大幅な研究計画変更を余儀なくされた大変な年であり、研究が大幅に遅れた年であったが、当該科研費の2度にわたる繰り越しを経て、当初の研究計画の主要な部分のひとつであった、国際研修集会"Higher Dimensional Algebraic Geometry Minicourses and Workshop"の開催が2年越しの2023年3月に実現でき、当初の計画が達成できたことは大きな成果であった。また、コロナ禍ではあったが、Zoomによる研究成果発表、共同研究推進、e-mailによる研究連絡等を通じて、次年度以降につながる研究の萌芽がえられるなど、研究成果発表や共同研究計画も別の形で遂行できた。以上により、研究は繰越・延期を経てではあるがおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に予定していた研究内容は、国際研究集会開催も含め2023年度3月までにほぼ実現できた点は幸運でもあった。他方、2023年度3月までの長いスパンでの研究、共同研究で見出した諸技法が、申請当初の研究計画には存在しなかった、ファイバー空間構造を許容した3次元カラビ・ヤウ多様体のファーバー空間を保存する自己同型の代数力学系や実形式の有限性問題に対しても適用可能であることがわかってきた。特に、カラビ・ヤウ多様体の錐予想というカラビ・ヤウ多様体の中心的な予想にも密接に関係している点は新しく、今後は、この問題も当該研究における主要研究テーマのひとつに組み入れて研究を更に推進していきたい。そのためにも重要な国際研究集会開催計画が、当該研究分担者である、川又雄二郎氏、高木俊輔氏、權業善範氏らのもと計画されている。
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