古典的な方程式では記述できない固体と液体が絡んだ複雑な流体や不均質媒質中の拡散現象を、逆問題と順問題の双方の視点から総合的に研究するものである。観測データの適切な説明や確実な予測を可能とするモデル方程式の設定や未知パラメータの定量的な決定を行う逆問題の研究と並行して、支配方程式に対する初期値・境界値問題といった順問題に関する基礎理論の構築も目指す。 工業技術・医学・公共の安全等に関わる様々な分野で重要となる不均質媒体中の拡散現象が研究対象であり、拡散現象の逆問題をコアとする数学解析理論の構築、支配方程式である非整数階偏微分方程式の解の一意存在や、漸近挙動などの順問題の包括的な基礎理論体系の構築、そして現場に密着した数学解析の成果に基づく数値解析手法の開発等、大きな研究成果が期待される。
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