生命システムという自由度が非常に高い系における、階層性やロバストネス、揺らぎと応答の関係などを、理論的、熱力学的に定式化しようとする課題である。これまでの研究代表者らが提唱してきた、生命が自発的に実質的な自由度を大きく低減して機能を発現すると考える「次元縮減」仮説を、高度な代謝系やネットワーク系において検証するとともに、その普遍性を調べ、実験との比較を行うことが予定されている。 本研究課題が予定通りに進めば、個々の細胞や細胞集団ネットワークの外部刺激に対する応答に関する理論の構築につながり、生体の理解が格段に深まることが期待できる。さらには、細胞―多細胞生命個体―生態系といった階層構造の成立や神経ネットワークの認知過程の理解に繋がる可能性をも秘めており、学術的意義が高く認められる。
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