細胞内の熱拡散や光加熱時の温度変化をラベルフリーで定量する新規計測法を開発し、生きた細胞の計測を行ったところ、蛍光温度プローブを用いた計測とは異なる結果を得た。開発した手法による計測では、細胞内の熱拡散率は水に対して93-94%程度であり、細胞内では主に水分子が熱拡散を担うことを示した。また、秒スケールでの光加熱による温度変化の計測において、蛍光プローブを用いた場合には数度にわたり変化する温度上昇が見られたのに対し、ラベルフリー計測では一定の温度上昇であった。これらの結果は蛍光温度プローブが温度で決まる熱エネルギー以外の内部エネルギーの変化の影響を受けていることを示唆するものである。
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