研究課題/領域番号 |
20H00131
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 昌利 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (30313117)
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研究分担者 |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40212039)
柏谷 聡 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40356770)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トポロジカル超伝導 |
研究実績の概要 |
時間反転対称性のあるトポロジカル超伝導体表面に現れるマヨラナフェルミオンの磁場応答を系統的に求める方法を開発した。特に、K理論によるトポロジカル超伝導体の分類法とマヨラナフェルミオンの表現論を用いて、超伝導ギャップ関数の対称性とマヨラナフェルミオンの磁気応答の関係づける理論を構築した。また、Kitaev鎖モデルにおいてエッジに不純物が存在する場合のグリーン関数を解析的に求めて、マヨラナフェルミオン、奇周波数ペア振幅に与える不純物散乱の効果を明らかにした。さらに、強磁性体・異方的超伝導体接合において、低エネルギーアンドレーエフ束縛状態が熱電能の符号を反転することを明らかにした。また、スピン3重項s波ペア振幅による異常近接効果を、スピン3重項p波超伝導体を用いなくても、マヨラナフェルミオンをエッジに有する2次元半導体接合から実現できることを提案した。空間反転対称性の破れた多軌道超伝導体において、ゲート電圧を用いてジョセフソン接合が0-π転移することを明らかにした。同時に、トポロジカル相に対する環境の影響を考慮した非エルミート・トポロジカル相の理論も発展させた。また、銅酸化物を用いてトンネル接合後作成し、ゼロバイアスコンダクタンスピークの観察できる条件を探索した。真空中劈開を行うことにより表面劣化を制御した結果、クリアなピーク観察のできる条件出しに成功し、回転磁場印可によるドップラーシフトの応答を観測している。またこれと並行して素子形状を考慮したドップラーシフトの理論解析を行うために、有限要素法による磁場解析とコンダクタンス表式を連立して解析する手法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マヨラナフェルミオンの磁気応答に関して、一般論の構築に成功しており、個別の系に対する理論的解析および実験も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
トポロジカル超伝導体などトポロジカル相に現れるトポロジカル励起を測定する際には、外部との結合の影響を考慮することが重要である。そこで、外部との結合を考慮した非エルミート・トポロジカル相の研究をさらに進める。同時に個別の系に関する理論的研究も進めていく。また、計算機による計算手法を発展させる。実験の方は、スピン3重項超伝導候補物質の研究を進め、多端子型のジョセフソン接合を作成する準備を進めていく。
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