研究課題/領域番号 |
20H00140
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
千徳 靖彦 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (10322653)
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研究分担者 |
岩田 夏弥 大阪大学, 高等共創研究院, 准教授 (70814086)
佐野 孝好 大阪大学, レーザー科学研究所, 助教 (80362606)
藤岡 慎介 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (40372635)
西内 満美子 (高井満美子) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 上席研究員 (70391315)
城崎 知至 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10397680)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高エネルギー密度科学 / 高強度レーザー / メゾスケールプラズマ物理 / プラズマ粒子シミュレーション / レーザーイオン加速 / 実験室宇宙物理学 |
研究実績の概要 |
ペタワットレーザーは、物質をピコ秒という時間スケールで、太陽コア付近と同等な状態まで加熱できる可能性を持つ光である。ペタワットレーザーの加熱は、強い非線形性を持つ吸収過程と、急峻な圧力勾配を伴う高密度プラズマ中でのエネルギー輸送過程の両者が複雑に絡み合う現象であり、運動論的領域と流体的領域の間のメゾスケール現象と捉えることができる。本研究は、パルス幅ピコ秒のkJ級レーザー(LFEX)とパルス幅フェムト秒の超高強度レーザー(J-Karen-P)の二つの異なる特性を持つペタワットレーザーを使ってメゾスケールの非平衡高エネルギー密度プラズマ物理学を開拓する。本年度はピコ秒レーザーLFEXのパルス波形を任意に設定するためにパルス整形器を導入し加熱実験の準備をした。また、J-Karen-Pレーザーの実験では加熱した固体ターゲットから輻射されるX線を計測するための計測装置を導入し実験の準備を進めた.理論・シミュレーション研究では、強磁場下における円偏光波ホイッスラー波によるプラズマの超高速加熱過程の解明及び、LFEXのような大スポットを持つ相対論的高強度レーザーによる薄膜ターゲットの加熱過程とそこで形成される電子のエネルギー分布の構造について研究を行った。多次元プラズマ粒子シミュレーションのデータ保存のために、ファイルサーバーを導入し計算結果を解析した.大スポットの相対論的レーザープラズマ相互作用の研究は、米国リバモア国立研究所の理論グループとの共同研究として行い、Phys. Rev. Researchに国際共著論文として発表している.本研究成果をベースにリバモア研の世界最大エネルギーを持つレーザーシステムを使った実験提案を行うべく米国の共同研究者と議論を重ねた.今年度の成果は、宇宙における高温プラズマ形成の謎や高エネルギー粒子加速機構の解明、また、効率的レーザーイオン加速の実現に貢献するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で国内での移動や海外への渡航は制限されているが、Zoomなどオンライン会議を使い、共同研究者との議論を進めることで、コロナ禍の影響を最小限に抑えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ペタワットレーザーによるメゾスケールレーザープラズマに関する研究を、米国・仏国の共同研究者と展開する。特に、米国リバモア国立研究所は世界最大のレーザーを有し、そのレーザーを使った実験を提案し、理論・シミュレーションの検証を行う。レーザー科学研究所では、加熱したプラズマの計測の精度を上げるために、計測機器の改善を行う。QST光科学研究所では、J-KAREN-Pレーザーを使った実験を実施し、高強度場における高価数プラズマの形成過程を検証する。さらに、実験・シミュレーションデータをベイズ推定による多変量解析を行い、実験条件に対するイオン加速エネルギーに対するパラメーター依存性を明らかにする。求めた依存式を実験で検証し高精度化すると共に、最適な実験条件を提示し、実験を行う。理論・シミュレーション研究では、輻射輸送のモデルを拡張し、ガンマ線の吸収過程として陽電子・電子対生成過程などのQED過程を組み込む。研究はフランスボルドー大学、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校との共同研究として展開する予定である。
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