研究課題/領域番号 |
20H00141
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
難波 愼一 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (00343294)
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研究分担者 |
奥野 広樹 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 副部長 (70280716)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | プラズマウィンドウ / アークプラズマ / プラズマ発光分光 / トムソン散乱計測 |
研究実績の概要 |
2023年度は小口径,大口径プラズマウィンドウの放電部をより耐久性の高いものに改良することを行った.また,陰極部は従来の直熱型加熱から傍熱型加熱へと完全移行し,放電が短時間で安定して開始できるようにした.大口径プラズマウィンドウの装置開発はほぼ終えているが,小口径プラズマウィンドウは中間電極の除熱が未だ十分でなく,無酸素銅を材料とするものに変更し,陰極も熱的に耐えられるような装置を見直して設計し,2024年6月に装置が納入される予定である. プラズマ特性を評価するために,これまでの可視分光計測に加え,真空紫外分光,及び,トムソン散乱計測を新たに導入した.真空紫外分光ではプラズマ内,及び,周辺部ガスの輻射捕獲に関する基礎研究を行うことができ,衝突輻射モデルにおける線強度比法を用いた電子密度,温度決定に関する基調は情報を得ることができた.この成果をPhys.Plasmas誌にて報告した.一方,トムソン散乱計測ではトリプル分光器を自作し,陰極周辺部と陽極出口の電子密度・温度を計測することに成功した.具体的には大口径8mmプラズマウィンドウでは2~3eV, 10^14/cc以上のヘリウムプラズマが発生していることが分かった.これらの値は可視分光で得られた値と一致するため,プラズマパラメータのクロスチェックが可能になった.更に,計測されたプラズマパラメータからどの程度の中性粒子が加熱されているかが評価でき,ガス粘性をより高めるための指針を得ることができた.この成果はJ. Appl. Phys誌にて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大口径プラズマウィンドウでは目標とするプラズマ特性をほぼ実現でき,圧力隔壁性能も45分であるが達成することができた.一方,小口径プラズマウィンドウでも高い圧力隔壁が形成されたが,極めて高い熱負荷に長時間耐えられなかった,そのため装置の大幅な改良を行った.この装置が納品されるのが6月であり,このプラズマウィンドウを用いて連続長時間運転を試みる.したがって,計画はおおむね順調に進んでいると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年6月までに大口径,小口径プラズマウィンドウの製作がすべて完了するので,まずは両装置で目標とする圧力隔壁が長時間維持できるのかを確認する.その後,プラズマウィンドウ内に電子ビームを入射する実験を行う.電子ビームは30kVの電子ビーム源を整備したので,放電部陽極出口側から電子ビームを入射し,陰極側に設置されたステンレスまで電子が到達するか調べる.その後,アインツェルレンズを用いて電子ビームを上下左右に振ることでステンレス母材が加工できることを実証する.
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