研究課題/領域番号 |
20H00142
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白谷 正治 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (90206293)
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研究分担者 |
富田 健太郎 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (70452729)
鎌滝 晋礼 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (60582658)
小林 達哉 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30733703)
布村 正太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (50415725)
石川 健治 名古屋大学, 低温プラズマ科学研究センター, 特任教授 (60417384)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ゆらぎ / 高アスペクト比 / エッチング / 光ピンセット / 微粒子プラズマ |
研究実績の概要 |
シース電場の時空間構造揺らぎ形成機構の解明とこの電場揺らぎとエッチング形状揺らぎの関係解明を目的とする本研究では、4年間の研究期間において次の2項目について明らかにする。1)光捕捉微粒子を用いた低侵襲・超高感度電場計測法によるシース電場の時空間揺らぎ計測・解析(1-3年目)。2)高アスペクト比構造を用いた入射イオンの振る舞い解析(3-4年目)。 1年目(2020年度)は、項目1)について検討し、レーザートラップ技術を用いた電場ベクトル(軸方向と径方向の電場)の評価方法の確立と、電場揺動計測の検討を行うとともに、1年目に購入したEOセンサーを用いて、平行平板プラズマにおける電場計測が可能であることを明らかにした。 まず、Arプラズマ中で光捕捉した微粒子について検討した。用いた微粒子は直径10ミクロンのアクリル微粒子である。平行平板がたプラズマを用いて、ガラス製の装置底面にリング状の放電電極を設置し、プラズマを生成するとともにリング中央付近に微粒子を捕捉した。まず、光線光学モデルを用いたレーザー光が微粒子に与える軸方向の力を評価し、微粒子に作用する力の定量的な推定に成功した。またOrbit motion limitedモデルを用いて推定した微粒子帯電量を用いて、z方向の電場は3000から4000 V/mのレンジであることを明らかにした。 次にポッケルス効果を利用したEOセンサーによる電場の絶対値計測を検討した。3次元の計測が可能であり、軸方向で500V/m、横方向で70-80V/mであり、十分な精度で絶対値計測可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた検討事項のうち、光捕捉力の定量評価に指針が立ったこと、また、電場の絶対値計測が、満足できる精度で可能となり、研究目的達成へのマイルストーンを着実にクリアできているところから、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2年目にあたる2021年度は、1年目に捕捉用レーザーの修理のために滞った3次元計測用プラズマ装置の製作を行うとともに、2つの微粒子を同時にプラズマ中で光捕捉し、2体粒子間の相互作用を検討開始する。光捕捉されたプラズマ中微粒子には、レーザー光捕捉力、静電力、イオン粘性力、ガス粘性力が作用し、これらの揺らぎに起因して微粒子捕捉位置からの揺動が発生する。イオン粘性やガス粘性、電荷の揺らぎの影響を除去し、電場の時空間動態を計測するため、プラズマ中2体微粒子に作用する力(シャドー効果による引力とクーロン斥力)を起因とした微粒子のふるまいを明らかにする。 加えて、電場揺動評価法を確立する。微粒子に作用する支配的な力は重力と静電力である。重量は、支配パラメータである質量と重力加速度ベクトルの時間変動が小さいためにその揺動は無視できる。従来は、電荷とその揺動成分をバルクプラズマ中の電子温度と電子密度から推定していた。1年目に確立したEOプローブによる絶対電場計測から、電荷と電場の揺動の効果を定量的に調べる。
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