研究課題/領域番号 |
20H00159
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
市川 温子 東北大学, 理学研究科, 教授 (50353371)
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研究分担者 |
木河 達也 京都大学, 理学研究科, 助教 (60823408)
中島 康博 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (80792704)
関谷 洋之 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90402768)
中村 輝石 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (80750463)
小原 脩平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (70834711)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 二重ベータ崩壊 / キセノンガス検出器 / タイムプロジェクションチェンバー |
研究実績の概要 |
1,000リットル検出器全体概念設計を行った。 シミュレーションを行い、その結果にもとづいてガス容器の全体形状、信号ポートの数、電離電子検出面のサイズと読み出しチャンネル数を決めた。 電離電子検出面に用いるMPPC光検出器の電気信号を容器外へ取り出すFPCケーブルについて、インピーダンスおよびクロストーク、抵抗による減衰率を考慮した設計を行い、試作の上、性能評価をして要求を満たしていることを確認した。 検出器の各構成要素からの放射線の測定を行ったところ、MPPCのセラミックスパッケージの放射能が高く、二重ベータ崩壊探索において深刻な背景事象源になることがわかった。そこで、上記のMPPCの素子を直接FPC基板に載せることでパッケージなしで使用することとし、試作と性能評価を行い、要求性能を満たすことを確認した。 既存の180リットル試作機において、ゲッターによりガス純化をしつつデータを取得することで高品質なデータを得ることができた。得られたデータについて解析手法の改善も行い、662 keVガンマ線の光電効果事象に対して、半値全幅で1.3%という世界最高レベルのエネルギー分解能を得た。この1.3%のうち、原理的に避けられない電離の際の揺らぎの寄与は0.55%であり、その他に1.2%の寄与があるはずである。その内訳を調べるため詳細なシミュレーションによるスタディを行った。すべての要因は突き止められなかったが、電離電子検出面における電離電子からエレクトロルミネッセンス光への変換の揺らぎの寄与が0.54%であることがわかった。この結果を受けて、エネルギー分解能向上のために、MPPC光検出器の形状を従来の3mm角から直径4.7mmの丸型として受光面を大型化することとし、素子の試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検出器に用いる光センサーのセラミックパッケージについて放射能が高く本システムに使用できないことが研究の過程で判明したた。他素材パッケージの使用を検討したが、電気を通すための銅箔の接着性が確保できないことがわかり、パッケージを使うこと自体を止めて、光センサー素子を直接カプトン基盤に載せる方式に変更した。以上の検討などにより研究に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
光センサーについて、パッケージ無しでの搭載がうまくいったので、その方式を用いた電離電子検出面の製作を推し進める。
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