研究課題/領域番号 |
20H00170
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
河原 創 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90649758)
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研究分担者 |
小谷 隆行 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, アストロバイオロジーセンター, 助教 (40554291)
Guyon Olivier 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (90399288)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 系外惑星大気 / 自動微分 / 系外惑星キャラクタリゼーション / 褐色矮星 |
研究実績の概要 |
2020年度において、すばる望遠鏡の直接撮像装置であるSCExAOと高分散分光器IRCSを接続するモジュールREACHをKバンドへ拡張する試みが行われた。この拡張は系外惑星大気の分子や大気構造の探査能力の向上を目指しており、様々な系外惑星大気の解明に貢献することが期待されている。しかし、Covid19の影響により、学生の派遣や装置コンポーネントの購入が遅れ、計画が二回繰り越されるという問題が発生した。それでも、光ファイバーに光を入力し、出力される光の強度を測定して最適化する部分までの実装が完了した。ダイクロイックミラーについては、Kバンド用ファイバーとYJHバンド用REACHファイバーの両方を同時に取り扱うことが可能となっている。これにより、複数のバンドでの同時観測が実現可能となり、効率的な研究が進められることが期待される。 加えて、2020年度では解析パイプラインの開発も進められた。高分散分光用スペクトルのベイズ解析ツールに自動微分を導入し、開発が開始された。自動微分により、効率的で高速な解析が可能となり、高分散分光の解析にとって大きな利点となる。この解析パイプラインにより、高精度なスペクトルデータの解析が可能となることが期待されている。 また、今回の研究で新たに発見された一酸化炭素をもちいた質量推定について、一酸化炭素の圧力幅のデータベース依存性を解決するための方策を探った。具体的には加熱ガスセルに光を通し、一酸化炭素の圧力幅を測定する案である。本年度ではこのような方式が原理的に可能かさぐり、今後の一定の可能性を見出した。 今後、Covid19の影響が緩和されることで、計画が円滑に進行し、装置の改良や新たな解析手法の開発がさらに加速されることが期待されている。これらの取り組みにより、系外惑星大気研究の進展が促進され、未知の惑星大気の解明が行われることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置部分のアップグレードに関しては、Covid 19の影響でハワイへの渡航が困難となり、装置コンポーネントの接続が遅れるという課題が生じた。これにより、予定されていたアップグレード作業がスムーズに進まない状況が続いている。しかし、この困難な状況にもかかわらず、状況に柔軟に対応し、できる範囲での装置改善に努めている。
一方、解析パイプラインについては、REACH用のpythonパイプラインの開発が着実に進み、REACHやIRDの高分散分光を利用する研究者の効率的なデータ解析を支援することが期待できる。さらに、自動微分を利用可能な放射伝達を解くことでハミルトニアンモンテカルロを実行できるExoJAXの開発にも成功し、これによりより高度なデータ解析が可能となることが期待できる。これらの進展により、解析パイプラインの開発は予定よりも進んでいる。
現在、REACHで取得したデータの解析がほぼ完了し、論文投稿を間近に控えている状況である。このような状況を考慮すると、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。今後も、装置部分のアップグレードが進められ、解析パイプラインの改善が行われることで、より高品質な研究が実現されることが期待されている。
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今後の研究の推進方策 |
REACHのKバンド化については、前回は天候の問題で恒星光の導入はならなかったが、次回はIRCSまで接続し、エンジニアリング試験を行う。 REACHデータの解析をほぼ完了しつつあり、あとは出版のための細かな作業を完遂させる。
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