研究課題/領域番号 |
20H00171
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
本原 顕太郎 国立天文台, 先端技術センター, 教授 (90343102)
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研究分担者 |
小山 佑世 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40724662)
小西 真広 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (50532545)
尾崎 忍夫 国立天文台, 先端技術センター, 講師 (60532710)
児玉 忠恭 東北大学, 理学研究科, 教授 (80343101)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 銀河形成 / 近赤外線分光 / 面分光 / 超精密切削加工 |
研究実績の概要 |
(1) SWIMSのすばる望遠鏡に取り付けてのPI共同利用観測については2021年4月より開始した。2022年3月までに、2021年A,2021年B期の2期にわたって合計14件の観測提案が採択され、55夜の観測を実行した。これら観測は新規に雇用した研究員である小山が中心となり、本原、分担研究者の小西、児玉、および研究協力者である高橋、田中、寺居の支援を受けつつ行われた。 (2) z~2の低質量星形成銀河の多天体分光についても2021年B期の共同利用に応募して採択され、2022年2月に観測を実行した。 (3) 面分光ユニット(IFU)の開発については、2020年度に試作したスライスミラーおよび球面鏡の本製作を大学院生の櫛引と研究協力者である理化学研究所の細畠、竹田が山形および東京電機大学の森田の協力のもとに行なった。試作で明らかになった問題点を改善することにより、目標の形状を持つ素子の製作に成功した。また、拡大光学系のレンズホルダの設計制作も行った。さらに、調整なしで組み上げることを目標として、超精密切削加工技術によりこれら部品を組み上げるベースプレート形状の精密加工を行った。これで、IFUのすべてのコンポーネントの制作が完了した。 2021年度後半よりこれらの組み立て調整と実験室での性能評価を大学院生の櫛引と研究分担者の尾崎が行なった。国立天文台先端技術センターですばる望遠鏡からの出射光を模した調整用光学系を構成してこれを用いた。当初設計通り、IFUがほぼ微調整なしで要求通りの光学性能を持つことが確認できた。 2022年初頭にIFUをハワイ観測所に輸送し、すばる望遠鏡で運用しているSWIMSに搭載しての機能試験観測を2021年度末に実施した。実際に星を導入したファーストライト観測に成功した。これを受けて、2022年B期のすばる望遠鏡でのPI共同利用観測に供されることが承認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は新型コロナ感染症の影響でスケジュールが遅れたものの、本年度はそれを取り戻し、本研究で大きな目標としていた(1)IFUの望遠鏡に搭載したファーストライト観測に成功し、(2) 赤方偏移2付近の低質量星形成銀河の多天体分光を実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は引き続きSWIMSを用いたPI共同利用を行う。また、2021年度までに行なった観測のデータ解析を進め、論文化を進める。 IFUについては2021年度に行なった試験観測のデータ解析からその性能評価を進める。また、国際学会などで成果発表を行う。 すばる望遠鏡でのSWIMSの共同利用観測運用は2022年度いっぱいで完了し、SWIMS本体は2023年度に日本に返送してメンテナンスを行った上で、2024年度にチリのTAO望遠鏡に輸送して観測開始を目指す予定である。
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