研究課題/領域番号 |
20H00174
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前田 啓一 京都大学, 理学研究科, 教授 (00503880)
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研究分担者 |
諏訪 雄大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40610811)
勝田 哲 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50611034)
松林 和也 東京大学, 理学研究科, 助教 (60622454)
守屋 尭 国立天文台, 科学研究部, 助教 (90779547)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超新星 / 光赤外天文学 / 分光装置 / 理論天文学 / 恒星進化 |
研究実績の概要 |
せいめい望遠鏡の可視3色高速撮像分光装置(Tricolor CMOS Camera and Spectrograph; TriCCS)のスリット分光モード用にグリズム等を購入し、分光装置をくみ上げた。これと並行し、面分光ユニットの設計及び試験を進めた。 既存の分光器Kool-IFUおよびTriCCSの撮像機能に加え、TriCCSの分光機能を用いてせいめい望遠鏡等による超新星観測を遂行し、理論研究も並行して進めた。これらの成果は、多数の国際査読論文として出版されている(業績リスト参照)。例としては以下のようなものがある:超新星の爆発機構の研究として、超新星残骸カシオペアAのX線データ解析および元素合成理論研究を行い、標準的とされる遅延ニュートリノ爆発の痕跡を発見した(Sato, Maeda et al. 2021: プレスリリース)。国際的な枠組みでの超新星観測の結果として、理論的に予測されていたものの、かに星雲のもととなった超新星以外に観測カウンターパートの知られていなかった電子捕獲型超新星の、有力な候補天体を発見した(Hiramatsu et al. 2021; プレスリリース)。また、Tomo-eとせいめい望遠鏡により連携観測の成果として、特殊な高輝度Ia型超新星において、爆発直後に明るい閃光が伴うことを発見した(Jiang, Maeda et al. 2021; プレスリリース)。これ以外にも、理論・観測双方で様々な成果を得ている。 スリット分光・面分光モード開発のための光学・電子機器を購入したほか、データ集約・保守および解析のためのPCおよびSSDを購入し、打ち合わせおよび成果発表のための旅費を本経費より支出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
せいめい望遠鏡の観測装置であるTriCCSの分光モードの開発も順調に進み、データ取得を開始することができている。さらに、次の段階である面分光モードの開発も当初の予想以上に進展している。また、観測・理論研究においても様々な成果を得ており、Nature、Nature Astronomyを含む多数の国際査読論文を出版したほか、京都大学・東京大学・国立天文台・理化学研究所等から三編のプレスリリースを行うことができた。この中には、NASA広報やCNN報道でも取り上げられたものがある。さらに、TriCCSの開発に関して、CANONからもニュースリリースが出された。 以上を持ち、当初の計画以上に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、TriCCSスリット分光モードの試験観測をすすめつつ、整備・調整していく。2023年度内の共同利用公開を目指している。また、面分光モードの開発を進め、試作機の設計を完了させる。 せいめい望遠鏡による超新星観測も継続して遂行する。これらデータとの比較および解釈のため、超新星可視光度曲線・スペクトル形成理論・多波長放射理論研究を継続して行う。 これまでの研究遂行に関して大きな問題は見受けられず、むしろ当初の予想以上に進展していると言える。したがって、今後は上述の方針に従い、継続して本課題を遂行していく。
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備考 |
上記のプレスリリースは複数機関から行っており、それぞれ複数の大学・研究機関のwebサイトに掲載されている。ここでは、それぞれ一件のみ掲載。
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