研究課題/領域番号 |
20H00177
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
江副 祐一郎 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (90462663)
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研究分担者 |
中嶋 大 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (70570670)
三石 郁之 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90725863)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | X線撮像分光装置 / X線望遠鏡 / X線検出器 / 可視光素子 |
研究実績の概要 |
本研究では地球周辺からの電荷交換X線放射の解明を目指すGEO-X 衛星に搭載する観測装置を開発する。独自のX線望遠鏡と高速・低雑音のCMOS検出器、可視光防護フィルタからなる。本年度はX線観測に向けた性能を実証すると共に衛星バスとの調整を経た寸法や通信I/Fの設計を進めた。
・望遠鏡:4インチ Si 基板を用いた Wolter I型望遠鏡の試作を行った。エッチングで開けた微細穴の側壁を反射鏡として利用する方法であり,基板を2段重ねで使用する。まずは1段での性能評価を進め,プロセス改良により要求を満たす見込みである。また放医研にて放射線照射試験を実施し,目視での破損や反射率の有意な変化がないことを確認した。 ・検出器:CMOS センサの性能評価を進めた。候補となるセンサおよび読み出し回路を用いて室温及び冷却時の性能を評価し,良好な性能を確認した。さらに軌道上での放射線環境を模擬した放射線照射試験を放医研にて実施し,データの評価を進めている。グレード法による信号処理を行うことで要求されるLDやエネルギー分解能を達成する見込みを得ている。 ・可視光防護フィルタ(OBF):フライトモデルとほぼ同等のエンジニアリングモデル(EM)品を米 Luxel 社と協力して製作し,可視光透過率,X線透過率,一様性を確認した。さらに薄膜フィルタにとって過酷と考えられる打ち上げ時の音響を模擬した試験を実施し,破損がなく十分な耐性を持つことが期待できることを確認した。 ・装置全体:観測装置を納めるハウジングの設計と試作を実施し,寸法および重量の概算を行って衛星バスとの調整を進めた。また検出器と衛星バスとの通信I/Fの調整も開始した。さらに既存のX線天文衛星データを用いた電荷交換X線の研究も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は当初の計画通り観測装置をなす各コンポーネントの単体での性能実証を行うと共に,観測装置全体の設計と試作,さらに衛星バスとの調整を進めた。OBFについてはEM品の試作と性能評価を先行して実施した。また打ち上げ環境を模擬した重要な環境試験も実施し,観測装置の信頼性を確認することができた。これらより当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は計画通り観測装置のフライトモデルの前段階であるEM製作を進める。OBFはすでにEM相当品の試作および性能評価を済ませており,余裕を持って計画を遂行できる。
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備考 |
・本研究に関連した受賞2件(地球電磁気・地球惑星圏学会オーロラメダル,物理学会学生優秀発表賞) ・本研究に関連したアウトリーチ2件(MEMSセンシング&ネットワークシステム展展示,オープンユニバーシティ講演)
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