研究課題/領域番号 |
20H00181
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
宮崎 聡 国立天文台, 先端技術センター, 教授 (20290885)
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研究分担者 |
藤田 裕 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (10332165)
鎌田 有紀子 国立天文台, 先端技術センター, 技師 (10413973)
小宮山 裕 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (20370108)
大栗 真宗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60598572)
川野元 聡 国立天文台, ハワイ観測所, 特任研究員 (90727398)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 天体観測 / 高速CMOS |
研究実績の概要 |
広視野撮像探査観測は、その統計精度と幅広い応用性により、現代天文学と宇宙論において、中心的な役割を果たしている。すばる望遠鏡用に 開発されたHyper Suprime-Cam (HSC)により、日本がこの分野を主導してきている。さらに国際競争力を高めるため、高速に読み出し可能なCMOSセンサー開発し、これまでのCCDでは不可能であった、短時間変動する天体探査を行い、天体観測の新しいフロンティアを開拓することが本研究の目的である。 これまで行ってきた試作において、読み出し雑音2電子程度など、素子の電気的特性は概ね満足がいく試作品が完成しているものの、以下の3点が未解決のまま残されている。(1) 受光面内の量子効率の非一様性、(2) 量子効率と電荷の広がりのトレードオフの最適化、(3) 毎秒10フレーム読み出しを可能にする、読み出し回路の 開発、である。本年度は当初(1)の非一様性の課題に取り組む予定であったが、製作装置の準備の関係で、順番を変更し(2)に取り組んだ。量子効率を改善するために単純にシリコンを厚くすると、光で生成された電子(光電子)が電極に到達する前に横方向に広がり、解像度が劣化する。劣化を防ぐためには、光電子をなるべく垂直方向に移動させる必要がある。基板のエピタキシャル層の厚さと濃度などを変更し、さらにイオン注入のチューニングなどで、なるべく横方向に電子が広がらないポテンシャルを作り出す必要がある。これらを工夫することによって、電荷の広がりをピクセルサイズの半分(3.8ミクロン)以下に抑えかつ、最大値で5%程度の量子効率増加を達成することができた。 さらに、-40度までセンサーを冷却する装置を導入し、低温下で素子評価を行った。これによりMn K-alpha X線の分解能が150 eVと、CCD並みの数値が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
広島大学で試験観測を計画していたが、COVID-19のため出張ができず、不可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に予定していた、受光面内の量子効率の非一様性の改善に向けた開発は2021年度に行う予定である。
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