研究課題/領域番号 |
20H00182
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
坂井 南美 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70533553)
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研究分担者 |
野村 英子 国立天文台, 科学研究部, 教授 (20397821)
花輪 知幸 千葉大学, 先進科学センター, 教授 (50172953)
大橋 聡史 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (50808730)
奥住 聡 東京工業大学, 理学院, 准教授 (60704533)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 星間塵 / 原始惑星系円盤 / 原始星 |
研究実績の概要 |
動的な形成過程にある初期の原始(惑星系)円盤の構造と進化、および、進化に伴うダスト成長を解明することが本研究の目的である。この目的のために、初年度として、下記を行った。 1)0.7cmの波長帯におけるClass0原始星まわりの円盤観測データを解析し、この段階から内部構造が作られ始めている痕跡を発見した。この初期成果について、論文にまとめた。また、アメリカ国立電波天文台(NRAO)のVLA望遠鏡に、Class0/I段階の原始星まわりにおける初期円盤の詳細構造を探るための観測提案書を提出し(8月にL1527原始星、2月にTMC-1A原始星)、双方とも採択された。一方、アルマ望遠鏡において、同様の観測提案を予定していたが、COVID19のために約1年間アルマ望遠鏡が稼働停止したため、FY2021へ提案は延期された。 2)非常に若い円盤で既に星間塵が付着成長をはじめ、そのために初期円盤にリング構造が作られ得る可能性を、シミュレーションと観測(ALMAアーカイブデータおよび上記0.7cm帯観測結果)の比較により明らかにした(プレスリリース)。 3)まだ原始星へガスが降着を続ける中で形成される円盤の描像を明らかにするため、原始星へのガス降着の数値計算手法を開発した。また、放射形マイクロ波分光計において星間塵の輻射測定が可能となるよう、帯域拡張のソフトウェア改良やベースライン安定化作業などを行った。 4)原始惑星系円盤におけるスノーライン観測のアルマ望遠鏡への提案準備等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19のために、アルマ望遠鏡が2020年度すべてで稼働を停止していた。この関係で、アルマ望遠鏡への新規観測提案書の提出が2021年度に延期された。かわりに既存のアーカイブデータを用いた研究推進を模索し、上記2)の成果を得ることに成功した。また、放射形分光計を用いた実験についても、緊急事態宣言や在宅勤務指示などのために、想定通りには進めることができなかった。雇用研究員らとともに、細切れ期間での出勤態勢でも推進が可能な周辺機器・ソフトウェアなどのセットアップ(本格実験のために必要)を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度4月より、アルマ望遠鏡が再稼働を開始したため、当初2年次以降に予定していた観測提案に加えて、初年度から繰り越した観測提案(円盤内温度分布の解明、および、リング構造におけるダストサイズの解明)も行うことで研究を加速させる。VLAおよび2021年度提案のアルマ望遠鏡データは、早ければ2021年度後半に、遅い場合は2022年度中に入手予定である。このため、2021年度はじめは、Class0/I天体におけるリング構造の詳細を、既存の観測データおよびシミュレーションから明らかにし、データが入手でき次第、解析を進める。実験室実験においては、受信機冷却や周波数安定化などの関係から最低1ヶ月程度の連続作業が可能である必要があるが、COVID19の関係で万が一これが出来ない場合でも、実験室における星間塵の付着成長過程観察(こちらは短時間実験による検証が可能)の可能性などを探り、目的を達成する。
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