研究実績の概要 |
本研究では,2次元ガスクロマトグラフ-安定同位体比質量分析計(GC-GC-IRMS)を開発する。その目的は,従来の1次元GC-IRMSを用いた測定において,長年の課題であった「GCでの厳格なピーク分離の要求」を抜本的に解決すること,そして,従来法では測定不可能であった多々の試料に関して,有機化合物の安定同位体比測定を可能にすることである。その達成は,生物から環境試料まで,試料中の全ての有機化合物について5W2H(Who, What, When, Where, Why, How, How many)に関する定性・定量的情報を獲得し,地球惑星科学の多様な研究,とくに (i) 生物の生合成・代謝系の機能の研究,(ii) 地球生物圏における有機物・エネルギー循環の研究,(iii) 宇宙空間や初期地球における有機物生成や生命の起源の研究などで,ブレイクスルーをもたらすと期待できる。 本年度は,GC-GC-IRMSを完成させ,有機化合物の安定同位体比の測定に向けての測定メソッドの確立を行った。 その結果,標準物質を使った場合には,2次元でのガスクロマトグラフ分離を行った際でも,安定同位体比の測定に成功した。また,従来のGC-IRMSに比べ,開発したGC-GC-IRMSを用いると,多くの有機化合物で,約2から5倍の感度で分析できることがわかった。
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