研究課題/領域番号 |
20H00196
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂井 亜規子 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40437075)
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研究分担者 |
竹内 望 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30353452)
青木 輝夫 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 特任教授 (30354492)
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
松井 仁志 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50549508)
大畑 祥 名古屋大学, 高等研究院(宇宙), 助教 (70796250)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 氷河 / 氷河質量収支 / 光吸収性不純物 |
研究実績の概要 |
近年全球の氷河は温暖化のため縮小傾向である。本研究では気温上昇以外に、氷河の融解を促進すると考えられる要素として氷河表面のアルベド(日射の反射率)が考えられ、特にアルベドを低下させる要因として光吸収性不純物がある。本研究課題ではどの程度アルベド(反射率)を低下に影響を与えているか、また氷河表面における不純物の物質収支がどうなっているのか量的に示すのが目的である。 2021年度の繰り越し分を用いて、氷河表面熱収支のインプットデータを得るために気象測器等の輸送、また不純物のサンプリングに必要な道具等の輸送を行った。新型コロナの影響で輸送経路が高額なものしか選択できなかったため、当初の見積もり以上の金額を支払うことになった。 また海外渡航が昨年度できなかったために取得できなかった浅層氷コアの採取を氷の融解が起こる消耗域2か所において行った。これまで消耗域における氷コアの掘削は融解水が掘削中に流れ込んで凍結するためオーガーが掘削孔でスタックする可能性が高く難しいと言われていた。しかし融解期終わりに掘削したこと、また現地スタッフの協力もあり、無事に掘削を終えサンプルを採取できた。これにより氷河表面の不純物量の収支に重要な要素である融解期に氷が融解することによって析出する不純物(ダストやブラックカーボン)量について、来年度に析出する分については量的に把握できたことになる。今年度ではダスト量や有機物量の分析を行った。来年度はブラックカーボン量の分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナのため2年間観測ができなかった。今年度ようやく観測を始めることができ、現地で気象測器を設置することなどはできた。さらに、氷河上の不純物を採取し、有機物量、鉱物量ブラックカーボン量の中の3大不純物の寄与について分析可能なデータを得ることはできた。しかし気象測器の設置に人手や時間がかかったことまた十分なデータをとるには観測期間が不十分であった。2021年度の繰り越しを使用することで、高騰した運輸費を賄うことができたが、旅費を削らざるをえず、充分な観測期間をとることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に採取した浅層コアの分析は一部終わっている。2023年度にはすべての分析を終わらせることを予定している。また2023年度は融解期はじめと終わりの2回の観測を予定している。2回行くことで気象条件の異なる中でのモデルの検証データを得ることができる。また2回とも標高毎で氷の状態が異なるデータを取得し、気温による違いが氷河の氷の状態にどのような影響を及ぼすかを明らかにする予定である。また裸氷域でのアルベドについてモデル化できるよう専門家に協力を要請する予定である。
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