研究課題
研究目的を達成するために、鹿児島市の南約100kmの海域に位置する「鬼界海底カルデラ火山」を対象として、この巨大カルデラ火山のマグマ供給系全体の地球物理学的なイメージングを実施した。これにより、鬼界カルデラ直下に存在すると考えられる特徴的な構造の位置や大きさ等を把握する。本年度は、臨時陸上観測点として観測を継続していた種子島の広帯域地震計を11月に回収した。一方、これまでに海底および陸上での長期観測で得られた観測データの解析を進めることで、鬼界カルデラ火山のマグマ溜り等の溶融体を含むマグマ供給系の構造を示唆する予察的な結果が得られている。具体的には、まず海底電位差磁力計で得られた地磁気観測データの3次元構造解析を行った。この時、新たに開発したインバージョン手法を利用し、この手法を実データに対応させるチューニングを行っている。この解析結果は、カルデラ下の深さ1-5 kmに低比抵抗領域の存在を示唆する。また、短周期および広帯域海底地震計・陸上観測で得られた地震波形データをもとに、走時を用いたローカルトモグラフィを実施した。カルデラ直下10~40km付近およびマントル内に低速度域がイメージされ、それぞれ地殻内とマントル内のメルト上昇流に関連すると解釈している。反射法地震探査のデータ解析等に基づき、7300年前の巨大噴火である鬼界アカホヤ噴火の噴出物が海底に堆積していることを認定して総噴出量を推定し、この結果を学術論文として公表した。また、屈折法地震探査により推定した鬼界カルデラ直下を含む浅部の地震波速度構造の結果から、マグマ溜まりを認定した。このマグマ溜まりの大きさと鬼界アカホヤ噴火の総噴出量との比較により、巨大噴火を引き起こすもととなるマグマの再注入モデルを提案した。この結果は、学会等で発表し、現在学術論文としてまとめている。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Volcanology and Geothermal Research
巻: 448 ページ: 108017~108017
10.1016/j.jvolgeores.2024.108017
https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20240222-21789/
https://www.kobe-u.ac.jp/en/news/article/20240222-21789/