はやぶさ2探査機が持ち帰る小惑星リュウグウの試料に含まれる有機化合物の研究を通して、太陽系の炭素質な表面を持つ小惑星における有機化合物の分布・進化を明らかにすることを目的とした研究である。炭素質小天体と様々な種類の炭素質隕石との対応関係を解明するために、高感度・高分離・高質量分解能をもつ化学分析を行い、空間分布など総合的な地球外物質中の有機化合物分析を行う。 「原始太陽系における有機化合物の分布及び進化」を解明することや「炭素質小惑星には有機化合物は存在するか」という学術的問いはきわめて重要な問題であり、リュウグウだけでなく宇宙におけるアミノ酸など重要有機物の存在を明らかにすることに大きな学術的な意義がある。準備段階としての試料解析方法の開発も順調に行われており、アミノ酸のキラリティー分析まで研究を延長する点で、世界をリードする新しい成果が期待される。
|