研究課題/領域番号 |
20H00211
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高 偉 東北大学, 工学研究科, 教授 (70270816)
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研究分担者 |
清水 裕樹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (70606384)
松隈 啓 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90728370)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超精密計測 / 光応用計測 / 光周波数コム / 自律校正 / 位置 / 形状 / 精度 / 分解能 |
研究実績の概要 |
本研究では,次世代「つながる」超精密ものづくり実現に必須となる3次元超精密「絶対」形状計測基盤の確立を目的として,不等ピッチ絶対グリッド(不等間隔のものさし)および色収差レンズの分光作用をもとに,XYZ3軸絶対位置情報を光コム光源の光周波数情報に次元変換して検出する,極高感度絶対型XYZ位置コムを開発することを研究の目的としている.ナノメートル精度が限界である従来の計測・校正分離型信頼性保証(校正)体系の打破に向け,光コム光源をGPS衛星経由で「時間」の国家標準に直結することで実現する新概念の計測・校正一体型「その場自律校正体系」を確立し,遠隔地の生産現場における国家標準に匹敵する限界精度までの極高精度化を試みる. 本年度は当初計画の通り,レーザ波面を分割制御した後に重ね合わせ,光の干渉により不等ピッチ光干渉絶対グリッド定在波を生成する1軸光学系を構築した後,波面分割型干渉計光学系に非球面ミラーを1枚追加して2軸化した.2軸化に伴うXYビーム間の干渉による歪み成分抑制のため,偏光制御光学系を導入した.HeCdレーザ光源を用いたビーム拡大光学系と組み合わせて,定在波一括転写システムを構築した.構築した定在波一括転写システムを用いて露光実験を行い不等ピッチ2軸絶対グリッドを作製するとともに,グリッドのピッチおよび振幅などを評価した.さらに,不等ピッチ絶対グリッドを用いた絶対型XY位置コムとして,光学読み取りヘッドの光源として用いるフェムト秒レーザのスペクトル帯域,および不等ピッチ絶対グリッドのピッチ変動幅を考慮して,±1次反射回折光を捕捉する差動型ファイバ受光光学系を設計・構築する生成光学系を開発した.その基本特性を実験によって調べた。 また,次年度実施予定の不等ピッチ絶対グリッド製作システムの大面積化と最適化とともに,Z位置コム生成光学系に関する検討を前倒して実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画の項目に沿って研究を実施し,予定の項目をすべて完成し,設定した目標を達成するとともに,次年度に検討予定であった不等ピッチ絶対グリッド製作システムの大面積化と最適化に関する検討を前倒して実施した.その中,従来型非球面ミラーは価格,サイズ及び精度に限界があることを確認した.その最適化を種々検討し,平面ミラーに荷重を加えて変形を与えることで非球面ミラー形状を創成させる新しい手法の提案につながった.また,次年度に検討予定であったZ位置コム生成光学系に関する検討についても前倒して実施した.
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今後の研究の推進方策 |
実施計画のとおりに実施する予定である.計画3年目となる令和4年度は,高価でサイズ及び精度にも限界がある従来型非球面ミラーの代わりに,平面ミラーに荷重を加えて変形を与えることで非球面ミラー形状を創成させる新しい手法を活用して不等ピッチ絶対グリッド製作システムの大面積化と最適化を実施する.また,前倒しで設計検討を進めているZ位置コム光学系の構築をさらに進めてその性能を実験的に評価する.
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