研究課題
研究代表者はこれまでフレキシブル(曲げられる)システムの開発を推進してきた。フレキシブルデバイスを凌駕する次世代のデバイスは、肌のように超柔軟なストレッチャブル(伸縮可能な)素材を用いたシステムである。研究代表者は、そのために液体金属を用いたストレッチャブルセンサを世界に先駆け発表した。今後はセンサだけではなくシステムそのものが伸縮可能なストレッチャブルシステムが求められる。その社会実装のためのボトルネックは大量生産手法の欠如とシステムに蓄電能(バッテリ)がないことである。そこで本研究ではRoll-to-roll(R2R)加工を用いたストレッチャブルシステムの大量生産方法の確立と硬軟ヘテロ伸縮基板を用いたストレッチャブルシステムのR2R加工による実現を行った。まず、硬度の異なる3種類のポリマーを用いて、硬軟ヘテロ伸縮基板を作製した。硬い部分のパターン面積が0.78mm2と小さいポリマーフィルムを連続的に作製することに成功した。その上に、IC等の硬い固体電子素子を配置することによって全体が伸縮しても固体電子素子が保護される基板を作成した。さらに、R2Rコーティング・プロセスと液体金属配線のディスペンシング印刷を組み合わせることで、140ミクロンという微細な液体金属配線の形成が可能になった。このプロセスを用いることにより、一度に15個のストレッチャブルハイブリッド・デバイスのバッチ生産を可能にするとともに、最大400cm2の大面積デバイスの作製を可能にした。
2: おおむね順調に進展している
令和4年8月までに、R2Rプロセスでの硬軟ヘテロ基盤の作製、抵抗蒸着ユニットを用いた電子素子の作製を行い、令和5年3月までに、デモンストレーション用のデバイス作製、プリンテッドバッテリの開発を行う予定であった。当初の争点に反して予定していた実験装置および電子素子の納品が遅れR4年度に遅延が発生したものの他に独立して行うことができる検討を先に行うことで最終的には、研究概要に記載したように予定通りの結果を導き出すことができた。
硬度の異なる3種類のポリマーを用いて、硬軟ヘテロ伸縮基板を作製する。その上に、IC等の硬い固体電子素子を配置することによって全体が伸縮しても固体電子素子が保護される基板を作製する。さらに、R2Rコーティング・プロセスと液体金属配線のディスペンシング印刷を組み合わせることで、微細な液体金属配線の形成を可能にする。このプロセスを用いることにより、一度に複数個のストレッチャブルハイブリッド・デバイスのバッチ生産を可能にするとともに、大面積デバイスを作製することで本研究を終了させる。
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ACS Applied Materials & Interfaces
巻: 14 ページ: 48123~48132
10.1021/acsami.2c13023
Advanced Materials Technologies
巻: 7 ページ: 2200209
10.1002/admt.202200209