研究課題/領域番号 |
20H00215
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平山 朋子 京都大学, 工学研究科, 教授 (00340505)
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研究分担者 |
日野 正裕 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (70314292)
篠原 武尚 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (90425629)
關 義親 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 特任准教授 (90585209)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トライボロジー / 量子ビーム分析 / オペランド分析 / 中性子線 / 軸受 |
研究実績の概要 |
本研究では摺動面を対象場として量子ビーム分析を行い、ナノスケールからの潤滑現象の把握を目指す。具体的には、トライボ環境を実現する「トライボオペランド機構」を量子ビームラインに組み込み、実動条件下で分析を行うことによって摺動場で生じているミクロ挙動を明らかにする。対象課題として「スラストすべり軸受」を選定し、境界潤滑下での摺動面の状態把握には「中性子反射率法(NR)」を、流体潤滑下にあるせん断流れ場の状態把握には「中性子位相イメージング法(NPI)」を適用し、トライボ環境下での摺動界面およびすきま内潤滑油のナノスケール構造の動的挙動把握に挑む。 【実施課題①】オペランドNRによるトライボ摺動面構造の時分割分析を目指し、R2年度は、その装置開発と動作確認およびデータ取得を行った。1um以下の極めて薄い油膜を形成しながら摺動するリングオンディスク式摺動試験機を開発し、さまざまな種類の添加剤入り潤滑油を用いて摺動試験を行ったところ、極性の強い添加剤を含む潤滑油において低速で増粘するという目新しい傾向が得られた。その増粘の素をNRで分析することを目標としてJ-PARCに開発装置を持ち込み、安全審査承認を得た。 【実施課題②】京都大学複合原子力科学研究所のCN-3ビームラインにおいて、Talbot-Lau型干渉計の中性子位相イメージング装置を用いてトライボロジー環境における中性子イメージング測定のための整備を行った。低ノイズかつ高量子効率のCMOSカメラをベースとした高空間分解能中性子カメラを新たに開発し、中性子位相イメージングシグナルの取得にも成功した。ただR2年度は冷却機構が不十分な状態での測定となってしまったことから、今後は冷却機構を整備してより鮮明な画像取得を目指すとともに、試料測定を開始する。また本研究の遂行に適した位相吸収格子の開発も引き続き進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍によって量子ビーム施設が閉所となった期間が長く、当初想定していたマシンタイムを十分に確保することが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
R2年度はまずできることから開始すべく、装置設計とそれを用いたデータ取得に注力した。それにより、装置は仕様を十分に満たし、問題なく動くことが確認できたことから、R3年度はとにかく実験の頻度を高めてトライする。また、当初計画ではJ-PARCおよび京大複合研の中性子線活用を予定していたが、R3年度よりJRR-3Mも動くことになったことから、そちらの活用も積極的に検討する。
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