研究課題/領域番号 |
20H00222
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高木 周 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30272371)
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研究分担者 |
一柳 満久 上智大学, 理工学部, 准教授 (00584252)
杵淵 郁也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30456165)
杉山 和靖 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50466786)
田川 義之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70700011)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マイクロバブル / ベシクル / マイクロチャネル / 油水界面通過法 / 超音波 / ドラッグデリバリーシステム / 気泡クラスター / 液滴 |
研究実績の概要 |
本研究では,マイクロバブルの医療・産業応用を目指し,用途に合わせたマイクロバブル内包ベシクルを設計・作成するための学術的基盤を構築し,実際にデバイスの開発を行う.具体的には,直径1~5ミクロンのマイクロバブルを直径5~100ミクロンのベシクルに内包させる技術を確立する.特に超音波ドラッグデリバリーへの利用が期待されている直径5ミクロンのマイクロバブル内包ベシクルを安定に作成する手法の開発を重視して研究を進めている.現在までのところ,フローフォーカス型デバイスの流路形状を改良することにより,これまでのものに比べ,直径5ミクロン以下の微小水滴を大量に油相中に生成することに成功している.また,超音波血管造影剤として用いられるマイクロバブル(ソナゾイド)を混入した水溶液を用いることにより,5ミクロン以下の水滴中にマイクロバブルを内包させることにも成功した.さらに,マイクロバブルを内包した液滴に対して,油水界面通過法を用いて,5ミクロン以下のマイクロバブル内包ベシクルを生成することにも成功している.現時点では,生成された5ミクロン以下のベシクルに関してマイクロバブルの内包率が,低いのが問題となっている.これに関しては,マイクロチャネル内の液滴生成プロセスを高速度カメラにより撮影し,フローフォーカシングデバイスの液滴生成部において,水中に混入させたマイクロバブルが水中の不純物の影響により気泡クラスターを形成してしまい,小サイズのベシクルに取り込まれづらくなっているのを見つけだした,現在,流路に不純物が混入しづらくするための工夫および,生成されたベシクルの中から,マイクロバブル内包ベシクルのみを選択的に回収する手法の開発を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で,予定した対面での実験と打合せを遂行できず,計測の部分の研究を先送りにせざるを得なかった.理論モデルの構築とシミュレーションの部分に関しては当初の予定通り進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
実験室の稼働状況がコロナ前の状況に復活し,これからは実験を中心に進展が期待できる.特に現在までのところ、マイクロチャネルと油水界面通過法を用いて,直径5ミクロ以下の脂質膜ベシクルの中に数ミクロンの気泡を内包させることに成功している。ただし、現時点では,マイクロバブルを含むベシクルの存在割合が低く,今後はマイクロバブル内包ベシクルのみを選択的に回収し、濃縮するための手法開発が必要で,現在,超音波を利用した選別方法について実験装置の作成にとりかかっている.
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