研究分担者 |
安藤 景太 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (30639018)
山中 晃徳 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50542198)
長津 雄一郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60372538)
田中 あかね 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80418673)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粘弾性マイクロ液体ジェットにおいて,新しいジェット射出機構からのジェット速度のモデルを構築し,学術論文(Kamamoto, Tagawa, et al., Flow, 2021)として発表した.また,粘弾性マイクロ液体ジェットの分離・マイクロ液滴形成プロセスの解明・制御のため,べき乗則流体と呼ばれる非ニュートン流体の液糸の伸長プロセスについて実験的に明らかにした(松本&田川,ながれ,2022). また複雑なレオロジーを有する血液の液滴の衝突現象について実験的調査を行った.その結果,血液の飛散現象は血液と同様のせん断粘度特性(shear-curve)を有する流体の飛散現象と大きく異なることを発見し,比較実験により赤血球の変形性能に関わることを指摘した.本件に関して分担者(田中)と共著論文を発表した(Yokoyama, Tanaka, Tagawa, Forensic Science International,2022).さらに液滴衝突現象に関して機械学習を導入し,現象の特徴量を抽出した.その結果,液滴が飛散する際には液滴の中心付近の形状が実は異なることが明らかになった.この研究に関して分担者(山中)と協働し成果を共著論文として発表した(Yee, Yamanaka, Tagawa, Physics of Fluids, (2022)). 最後に,上記の知見を活用してマイクロジェット伸張衝突制御と次世代製造プロセスへの展開に向け,ジェットの軟材料への貫入プロセスについて高速度応力計測を実施し,マイクロジェットの形状の衝突現象に対する重要性を明らかにした(Miyazaki, Tagawa, et al., Scientific Reports, 2021). 計画が進んでいることに加え,機械学習による知見など,一部は当初の計画以上の成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
(i) マイクロジェット大伸長プロセスの解明:粘弾性マイクロ液体ジェットは伸長速度はO(100,000)1/sにも達し従来のレオメータの計測限界の100倍以上である.これまでジェットが「出戻る」現象を示す条件をFENEモデル解析で進めてきたが今年度はジェットの応力計測(分担者:武藤ら担当)を導入し,実験データベースを構築することでジェットの特異挙動の物理的解明を進める.ジェットが分離するプロセスについて分担者(長津)と協働する.大学院生(8名)の協力を得る.(ii) マイクロ液体ジェットの分離・マイクロ液滴形成プロセスの解明:粘弾性マイクロジェットはピンチオフに至るまでに顕著な伸張効果が確認され液糸は500nm以下となる.ジェット速度・粘度・サイズを変化させた系統的な実験調査結果に基づき,粘弾性流体のレオロジー特性がジェット生成に与える影響を実験・数値解析する.分担者(安藤)の数値解析モデル,また代表者(田川),分担者(武藤)所有の新しいレオメータにより界面レオロジー特性の大変形振動せん断流れ測定結果を考慮してジェットの分離理論を構築する.大学院生(5名)の協力を得る.(iii) マイクロ液滴衝突・塗布現象解明に取り組む.昨年度分担者(田中)と協働した血液の液滴衝突(Yokoyama, Tanaka, Tagawa, FSI, 2022)の結果および分担者(山中)との機械学習を用いた衝突挙動の調査(Yee, Yamanaka, Tagawa, Phys Fluids 2022)について,軟質材料印刷における液滴と着弾壁面組織との相互作用に着目することで進展させる.生体模擬組織(ゼラチン)に液滴を衝突させ,その非定常応力分布を計測する.大学生(5名)および研究員2名の協力を得る.
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