研究課題/領域番号 |
20H00227
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
光石 衛 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90183110)
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研究分担者 |
原田 香奈子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (80409672)
MarquesMarinho Murilo 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70837468)
牛久 哲男 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60376415)
鎮西 清行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副研究部門長 (60357506)
小関 義彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30356993)
山下 樹里 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10358252)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ロボット / 遠隔操作 / 自動化 / 病理 / 切断 |
研究実績の概要 |
東大病院病理部と産総研により病理画像を収集し,それらの画像に対するアノテーションを行った.開発した画像処理手法を用いて,切り出し作業の対象となる部位のセグメンテーションを行った.また,医師の切り出し作業を撮影し,医師の動作解析を行った. 次に,ロボットを用いた切り出し方法を評価するために,有限要素法を用いた病理切り出しシミュレータを開発した.有限要素法ソフトウェアとしてはメッシュ削除が可能なAbaqusを用いた.パーツは,最低限必要であるナイフと被削材のみとした.被削材は,左右と中央の部位とし,中央の切除される部分の厚みを小さくした. 構築したシミュレータの妥当性を評価するため,および,基本的な切り方の違いによる切断結果に関する影響を確かめるため,評価実験を行った.基本的な切り方として,落とし切りと引き切りを扱った.シミュレーション結果には,振動する傾向が一貫して見られた.これは,メッシュ削除を用いた際に見られる現象であり,次のように考察した.被削材の中央がナイフの動きに伴って力を受け,ある閾値を超えると消去される.この時,ナイフに作用する力は被削材の変形が大きくなるタイミングで大きくなり,メッシュ削除が起きた直後は,次のメッシュの層に接触するまで小さな力となる.この現象が繰り返し起きるため,反力は振動する結果となる.シミュレーション結果と実験結果とを比較すると,水平方向速度が大きい引き切りでは比較的近い結果が得られたが,落とし切りや水平方向速度が小さい引き切りでは特に切断初期において差異が大きかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響により東大病院病理部における病理画像の収集,ならびに,医師の動作解析を行うための画像の収集ができない時期があったが,自動的に画像収集するシステムを構築し,ある程度の画像を収集できている. 切除シミュレータについては,基本的な部分を構築することができた. これらからしておおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
東大病院病理部と産総研により,更なる病理画像の収集とそれらの画像に対するアノテーションを行う.また,開発した画像処理手法を用いて,切り出し作業の対象となる部位のセグメンテーション精度を向上する.さらに,医師の切り出し作業の解析を継続して行う. ロボットの制御については,強化学習等を用いて最適なナイフの動作を学習することを目的とする.開発を進めている有限要素法によるシミュレーションの改良を引き続き行い,模擬サンプルを用いてシミュレーションの精度を評価する.また,切断力と切断面の状態との関係についても調べる.
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