研究課題/領域番号 |
20H00229
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青井 伸也 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (60432366)
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研究分担者 |
中陦 克己 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60270485)
荻原 直道 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70324605)
國府 寛司 京都大学, 理学研究科, 教授 (50202057)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ニホンザル / 四足歩行 / 二足歩行 / 歩容遷移 / 神経筋骨格モデル / 筋シナジー / 一次運動野 / スパイクトリガー平均 |
研究実績の概要 |
令和4年度も昨年度に引き続いて、神経生理学、進化人類学・生体力学、システム工学、力学系理論を基盤とする研究グループが共同して、研究目的の遂行に向けて研究を推進した。 特に、歩行中のニホンザルの一次運動野・下肢領域から記録した神経細胞活動の筋活動に対する効果をスパイクトリガー平均(spike-triggered averaging)法を用いて検討した結果、一次運動野には下肢筋群を支配する運動ニューロンに対して直接的に投射する細胞が存在して、二足歩行中におけるそれらの細胞活動の効果が四足歩行に比べてより大きいことが明らかとなった。これは、サルの一次運動野が歩行中の脊髄の歩行パターン生成器(Central Pattern Generator, CPG)の活動を調節し、さらには支持脚の間での円滑な重心の受け渡しに寄与することを示唆する結果である。 さらに、ニホンザルの四足歩行時と二足歩行時に計測した筋活動を用いた筋シナジー解析の結果に基づいて昨年度までに構築していたニホンザルの神経筋骨格モデルを用いて、四足歩行から二足歩行へ遷移する動力学シミュレーションを実施した。特に、神経制御モデルにおける特定のパラメータの値に応じた歩容遷移時の振る舞いの違いを調べた。歩容遷移時の足の接地位置と質量中心を結ぶ倒立振子の状態に着目してその力学特性を解析すると、倒立振子の有するサドル不安定性を上手く利用することで、転倒することなく歩容遷移を実現できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニホンザルの神経筋骨格モデルの動力学シミュレーションから、二足歩行の獲得に寄与する不安定性の役割が明らかとなってきたため。
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今後の研究の推進方策 |
ニホンザルの神経筋骨格モデルのシミュレーション結果をニホンザルの計測データと比較して、これまでに得られた結果の妥当性を検証していく。
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