研究課題/領域番号 |
20H00230
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
倉爪 亮 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70272672)
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研究分担者 |
宮内 翔子 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (40828555)
河村 晃宏 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (60706555)
安 ち 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (70747873)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 漂着プラスチックごみ / ロボット / 破砕プラスチック / レーザスキャナ |
研究実績の概要 |
本研究では研究項目①3D LiDARの高精度化と破砕プラスチックごみの検出手法の開発、および研究項目②破砕プラスチックごみ回収ロボットシステムの開発の2つの研究項目を設定し、5年間で研究開発を行う。令和3年度は、研究項目①に対して、昨年に引き続き3D LiDARから得られるリフレクタンスデータに着目した破砕プラスチックごみの検出原理について検討を進め、昨年度に検討した全方位3D LiDARに加え、MEMS型3D LiDARも用いたマイクロプラスチック検出実験を行った。実験の結果、使用したMEMS型3D LiDARはリフレクタンス値のレンジが不十分であり、全方位3D LiDARに比べて検出精度が劣ることがわかった。さらに選定したMEMS型3D LiDARが開発中止となり、今後のサポートが見込めないことから、MEMS型3D LiDARを用いたマイクロプラスチックの検出を断念し、全方位3D LiDARを採用することとした。また、研究項目②に対して、吸引型マイクロプラスチック回収機構を新たに開発し、前年度開発した新型クローラロボットに搭載した。開発した破砕プラスチックごみ回収ロボットを用い、実際の海岸でマイクロプラスチックごみ回収試験を行い、回収動作を確認した。さらに、3D LiDARデータによるジオメトリビッグデータを用いた3D LiDARの高解像度化にも取り組み、疎な3D LiDARデータから高解像度な3次元データをDNNにより構築する手法を開発した。さらに作業現場で安全を確保するための人物認証手法や、効率よく実作業を行うための環境情報構造化に基づくロボット制御システムなどを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MEMS型3D LiDARを用いたマイクロプラスチックごみの判別は想定されていた性能が達成できなかったが、全方位3D LiDARでは所望の性能が得られている。また防塵、防水性に優れたクローラ型移動機構、およびマイクロプラスチックごみの回収機構の設計も行っており、おおむね計画通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目①に対して、昨年度に開発した3D LiDARから得られるリフレクタンスデータに着目した破砕プラスチックごみの検出システムを広域環境に適用するため、3D LiDARから同時に得られる環境地図に検出結果を投票することで、より頑健かつ広範囲のごみの分布を同定する手法の開発を行う。また、研究項目②に対し、今年度に開発した防水防塵機能を有するクローラロボットの開発に加え、小型エンジンを搭載するなど、稼働時間を延ばした新型回収ロボットの開発を進める。さらに開発した新型クローラロボットと、研究項目①で開発したシステムを統合し、糸島市内の寺崎海岸など、実際にマイクロプラスチックごみが打ち上げられた海岸で、5GやLTE回線を用いた回収ロボットの遠隔誘導実験を実施する。また昨年度に引き続き、3D LiDARデータによるジオメトリビッグデータを用いた3D LiDARの高解像度化、高性能化にも取り組み、高解像度な3次元データをDNNにより構築する手法や、3次元データに基づく人物認証などの環境識別手法について検討する。
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