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2021 年度 実績報告書

中赤外光を用いた非侵襲血中成分分析におけるブレークスルー

研究課題

研究課題/領域番号 20H00231
研究機関東北大学

研究代表者

松浦 祐司  東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)

研究分担者 片桐 崇史  富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (90415125)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード赤外分光法 / 光熱変換分光法 / 光音響分光法 / 量子カスケードレーザ
研究実績の概要

前年度に構築した外部共振器型波長可変QCLを光源として用いた光熱偏向分光システムを用いて,のべ20名程度の被験者に対して食事前後の3~4時間程度にわたり,指先および手首のスペクトル測定を行った.それと同時に10回程度の血糖値測定を行い,スペクトルと関連付けて保存した.得られた結果に対して多変量解析法のひとつであるPLR回帰分析を行い,血糖値とスペクトルの相関について調べたが,十分に高い相関係数が得られなかった.そこで検討した結果,この原因はプリズム表面に付着する皮脂の影響や,レーザパワーの変動にあることがわかり,皮脂のふき取りの徹底やレーザパワー変動の補正を行ったところ相関係数が上昇した.
また,波長可変QCLを用いた光音響分光システムを用いて指や手首などの生体サンプルの測定を行ったが,再現性に問題が現れる結果となった.繰り返し実験を行い検討した結果,この原因は体表から発生する水蒸気が原因であることがわかり,測定前にガスセル内を乾燥窒素ガスでブローしたり,綿棒などでガスセル表面を丁寧に拭き取ることにより,再現性が向上することが判明した.さらにトランスデューサを用いて,超音波領域の光音響波を検出するシステムを構築した.超音波は生体内をわずかな減衰で伝搬するため,トランスデューサをサンプル側面に直接押し付けて音響波の検出を行った.ジェル状のサンプルについて測定を行った結果,QCLの変調周波数を500 kHz程度とすることで得られる信号のSN比が向上することがわかり,指を対象とした測定でもスペクトルを取得することに成功した.どちらの場合でも得られる信号強度はサンプルの吸収係数に対して負の相関を持つことがわかり,このメカニズムの解明には理論的な検討が必要であることがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度に構築した光熱偏向分光システムおよび光音響分光システムを用いて生体測定を行い,生体構成物質の解析に十分なスペクトルが得られたため.

今後の研究の推進方策

生体測定のサンプル数をより充実させ,血糖値やコレステロール値との相関が得られるような条件を求めるとともに,再現性や安定性など装置の改善も並行して行う.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Analysis of Trace Metals in Human Hair by Laser-Induced Breakdown Spectroscopy with a Compact Microchip Laser2021

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Makoto、Matsuura Yuji
    • 雑誌名

      Sensors

      巻: 21 ページ: 3752~3752

    • DOI

      10.3390/s21113752

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 血漿の赤外吸収スペクトルからの脳腫瘍スクリーニングの試み2022

    • 著者名/発表者名
      木野彩子,小田直樹,金森政之,新妻邦康,冨永悌二,松浦祐司
    • 学会等名
      第69回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 圧電トランスデューサを用いた中赤外光音響分光法による生体分析-光音響信号の位相反転についての検討-2022

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮太,木野彩子,松浦祐司
    • 学会等名
      第69回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 波長可変 QCL を用いた中赤外光音響分光法による生体組織測定2022

    • 著者名/発表者名
      前野雅信,松浦祐司
    • 学会等名
      第69回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] DFB-QCLと中空光ファイバガスセルを用いた中赤外分光法によるアンモニア検出2022

    • 著者名/発表者名
      大村勇索,木野彩子,松浦祐司
    • 学会等名
      第69回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] DFB-QCL を用いた光音響分光法によるグルコースゲル濃度測定2021

    • 著者名/発表者名
      前野雅信,松浦祐司
    • 学会等名
      第82回応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] 中赤外光を用いた光熱偏向分光測定による生体分析 ―皮膚表面の吸収スペクトル経時変化についての検討―2021

    • 著者名/発表者名
      三上のどか,木野彩子,松浦祐司
    • 学会等名
      第82回応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] 第82回応用物理学会秋季学術講演会2021

    • 著者名/発表者名
      大村勇索,木野彩子,松浦祐司
    • 学会等名
      波長掃引パルスQCLと中空光ファイバガスセルを用いた微小濃度ガス分析
  • [学会発表] 中赤外パルス光誘起超音波を用いた光音響分光法による生体測定の試み2021

    • 著者名/発表者名
      佐々木亮太,木野彩子,松浦祐司
    • 学会等名
      日本光学会年次学術講演会 OPJ2021

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公開日: 2022-12-28  

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