研究課題/領域番号 |
20H00236
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡田 健一 東京工業大学, 工学院, 教授 (70361772)
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研究分担者 |
戸村 崇 東京工業大学, 工学院, 助教 (10803992)
坂本 啓 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40516001)
白根 篤史 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40825254)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フェーズドアレイアンテナ / 無線通信 / CMOS集積回路 |
研究実績の概要 |
(1) 通常の平面に配置されたフェーズドアレイを駆動するためには、位相のみの制御が行われる。必要な位相分解能は5度程度である。非平面アレイでのビームフォーミングには、0.5度の位相分解能が必要となり、また、0.1dB程度の振幅調整機構も必要となる。高精度に位相および振幅の調整が可能なフェーズドアレイICの回路方式について検討を行った。 (2) アンテナ面が変形した場合でも所望方向にビームを向けるためには、まずは個々のアンテナの位置や傾きを特定する必要がある。その後電気的な補償を行うが、15dB程度のサイドローブ抑圧を得るためには1度の位相精度が必要となる。本年度はIC単体での動作可能な試作機を作成し、実験により精度検証を行った。トランジスタの動作時の温度変動による特性ドリフトを避けるため、温度安定性の高いパッシブ方式による実現を検討した。また、初期オフセット校正技術を用いたIC間でのネットワーク測定について回路構成の詳細検討および試作機による精度検証を行った。 (3) アンテナ面の変形によりアンテナ間の信号結合が変化することを利用して、アンテナ間の相対的な位置や傾きを推定する。連続的な局面に配置される場合についての検討を行った。 (4) 非平面フェーズドアレイの宇宙実証に向けて、衛星搭載を想定したビームパターン補償について実験も含めて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2021年度は新型コロナウイルス感染症に関連する世界的な半導体供給不足が影響し、IC製造を通した実証実験での遅れが想定されたが、研究計画の順序を調整して、スムーズに進めることができた。予定されていた測定装置を用いる実験についてはやや遅延があったが、理論検討部分の研究活動に重点を置くことで、当初想定に近い研究成果を挙げることができた。 本研究の成果展開として、宇宙航空研究開発機構の宇宙実証コンポーネントの公募に本研究を含む提案が採択されており、2022年(予定)の宇宙実証が決定している。実証機の制作に向けて積極的に研究推進できている。また、本研究における非平面フェーズドアレイアンテナを用いた衛星技術が、IEEE MTT-Sat ChallengeのPhase 2にも選定されている。
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今後の研究の推進方策 |
宇宙実証の機会が具体的に決まり、関わる研究者・学生たちのモチベーションが顕著に向上している。引き続き、新型コロナウイルス感染症防止に配慮しつつ、測定装置を用いる実験と理論検討および回路設計についてバランスをとりつつ実施する。
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