研究課題/領域番号 |
20H00237
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小寺 哲夫 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00466856)
|
研究分担者 |
大塚 朋廣 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (50588019)
武田 健太 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (80755877)
溝口 来成 東京工業大学, 工学院, 研究員 (90848772)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 量子ドット / シリコン / ゲルマニウム / 量子情報 / スピン軌道相互作用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、量子構造中の正孔スピンダイナミクスの物理を解明し、その制御原理を示すことである。特に、スピンと軌道の自由度、及び相互作用の制御がその要素となる。スピンと軌道の間に働く相互作用は、結晶や構造の局所的な性質に依存するため、ナノ寸法の量子構造で重要となる。本研究で新たに開発するゲルマニウム量子ドット系と我々がこれまで開発してきたシリコン量子ドット系とを比較することで、普遍的な物理を解き明かすことを目指す。このために、独自に有するダイナミクス測定法を用いて、量子構造中のスピン軌道相互作用を電気的に制御し定量評価する計画である。 本年度の研究実施計画は、下記の通りであり、実施することができた。 ・上部にゲート電極を取り付けた量子ドット素子の作製を行う。普遍的な物理を解明するため、シリコンとゲルマニウムの2つの材料を用いて、量子ドットを作製する。 ・スピン軌道相互作用の統一的な理解を目的として、量子ドットの電気特性評価を行う。 ・要素技術として、ダイナミクス測定のため、高周波電圧操作を用いたスピンの操作や読み出し技術の開発・改良を行う。また、集積量子ドット素子の高速調整・安定動作のため、機械学習を用いて素子の電荷状態を高速に制御する技術の開発、スピン状態の安定化を目指したフィードバック測定法の開発を行う。 本年度は、上記については推進することができたが、新型コロナウイルス感染症による影響があり、特性評価に基づく高周波測定系のさらなる改良のための選定が困難となり、繰越(翌債)が必要となった。一方で、既存測定系を活用することにより、高周波反射測定やシングルショット測定などを実証し論文化することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画は、下記の通りであり、実施することができた。 ・上部にゲート電極を取り付けた量子ドット素子の作製を行う。普遍的な物理を解明するため、シリコンとゲルマニウムの2つの材料を用いて、量子ドットを作製する。 ・スピン軌道相互作用の統一的な理解を目的として、量子ドットの電気特性評価を行う。 ・要素技術として、ダイナミクス測定のため、高周波電圧操作を用いたスピンの操作や読み出し技術の開発・改良を行う。また、集積量子ドット素子の高速調整・安定動作のため、機械学習を用いて素子の電荷状態を高速に制御する技術の開発、スピン状態の安定化を目指したフィードバック測定法の開発を行う。 本年度は、上記については推進することができたが、新型コロナウイルス感染症による影響があり、特性評価に基づく高周波測定系のさらなる改良のための選定が困難となり、繰越(翌債)が必要となった。一方で、既存測定系を活用することにより、高周波反射測定やシングルショット測定などを実証し論文化することができた。 以上により、新型コロナウイルス感染症による影響を受けたものの、成果を創出することができており、おおむね順調に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は下記のように研究を推進する計画である。 ・上部にゲート電極を取り付けた量子ドット素子の改良を行う。上部ゲート電極に電圧を印加することにより、波動関数に対する電界を変調することを意図した構造となっている。次年度は本年度の結果に基づき、デバイス構造や界面の改良を行う。 ・スピン軌道相互作用の統一的な理解を目的として、量子ドットの電気特性評価を引き続き行う。次年度は極低温下での磁場依存性評価を実施する。 ・要素技術として、ダイナミクス測定のため、高周波電圧操作を用いたスピンの操作や読み出し技術の開発・改良を本年度に引き続き進める。改良した測定系を用いて、量子ドット素子の特性評価を実施する。また、集積量子ドット素子の高速調整・安定動作のため、機械学習を用いて素子の電荷状態を高速に制御する技術の改良、スピン状態の安定化を目指したフィードバック測定法の開発を継続する。
|