研究実績の概要 |
本研究では、腫瘍等に集積させた磁性ナノ粒子を検出、画像化する磁気粒子イメージングの性能向上を目指した。磁気粒子イメージングを臨床実用するためには、磁性ナノ粒子の検出感度を向上させる必要がある。磁性ナノ粒子の交流磁界に対する応答である磁化ダイナミクスを解明することにより検出感度を向上させることが研究目的である。以下に得られた研究成果をまとめる。 (1) 結晶磁気異方性について:液中に分散若しくは固体中に固定させた磁性ナノ粒子の結晶軸を配向させることは困難である。そこで非磁性金属マトリクス(母材)に配向する単結晶強磁性ナノキューブを試料として、その結晶磁気異方性及び磁化ダイナミクスを解明した。【Molecules, 25, 3282, 2020.】 (2) 磁化容易軸の配向及び粒径に対する依存:磁性ナノ粒子を固体中に固定させる過程で、十分に強い静磁界を印加することにより、磁性ナノ粒子の磁化容易軸が配向する試料を作製した。他方、液中試料では磁化容易軸のダイナミクスが観測可能である。粒径依存は、磁気分画手法により粒径の異なる試料により評価した。交流磁化特性からイメージング感度との相関を明らかにした。【第44回日本磁気学会学術講演会、16aC-5、2020年12月16日】 (3) 粒子形状依存:磁性ナノ粒子の構造・形状として、シングルコア、マルチコア、ナノリングなどの試料を評価した。印加磁界の強度・周波数を最適化することによりマルチコア構造においてイメージング感度を向上できることを明らかにした。【第44回日本磁気学会学術講演会、16aC-1及び16aC-6、2020年12月16日】
|