本研究では、電子の集団多体効果「電子流体効果」の発現と制御により、外的散乱過程による運動量とエネルギーの散逸を抑え、デバイスのエネルギー効率を革新的に向上させることを目的とする。電子流体効果をシリコンMOS電子系で発現させ、制御することにより、電子流体が本質的に有する運動量・エネルギー保存則という特性を引き出し、これまでの限界を超えた高駆動力と低消費電力を有する新原理デバイスを提案し、その基本原理を実証する。 電子・電子散乱では運動量とエネルギーは電子間で交換されるだけで、電子流体の運動は運動量とエネルギーの散逸を伴わないことに着目した本提案は、極めて独創性が高く、学術的意義が大きい。また、「運動量・エネルギー無損失での電子流体運動機能化」というコンセプトも優れており、成果が期待される。
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