テラヘルツ波バイオセンシングは、未開の重要研究分野であるが、波長限界(波長は約300μm)により高分解能イメージングが制限され、強度不足によりエネルギー密度が低く、高感度・微量検査に弱いという大きな障害がある。その弱点を克服するため、以下の項目に取り組んだ。 【項目1】”総合的局所場光テラヘルツ波変換の科学”については、アイデザイン構造による、マイクロ流路と局所場テラヘルツ励起の関係を明らかにし、高効率・コンパックとテラヘルツマイクロ流路構造へのフィードバックを図った。その結果、500ピコリットルの溶液中のミネラル成分をこれまでの限界ははるかに超える500アトモルでの観測に成功した。 【項目2】”細胞評価適合型テラヘルツ波イメージング装置の開発とバイオ・医用応用”については、高分解能化を図るために、固芯レンズを用いたイメージングシステムの開発と画像処理技術の改善を試みた。その結果、従来の分解能マイクロメートルを超える3マイクロメートルの分解能を達成するとともに、大きさ約30マイクロメートルのミドリムシのイメージングも成功した。 【項目3】”チップ増強テラヘルツ分光イメージングシステム開発”については、完成したシステムの最適化を行った。その結果、Siウェファーからの放射分光で、これまでの5倍の分解能を得た。また、反射配置とメタアトムアレーを組み合わせることで、DNAの二本鎖と一本鎖を非染色で微量かつ即座に検査できるシステムの構築に成功した。
|