研究課題
基盤研究(A)
一般に高周波回路では金属が用いられるが,その損失はテラヘルツ帯では顕著になる.本研究では,金属を用いない誘電体微細周期構造であるフォトニック結晶に着目し,物質科学に変革をもたらしているトポロジカルな性質を与えたテラヘルツ回路の基盤技術の開拓を行った.1回あたり0.1 dB以下という極めて小さな曲げ損失特性が得られ,合分波器を開発することができた.非圧縮4K映像伝送および100 Gbit/sを上回る多値通信実験にも成功し,トポロジカルフォトニック結晶の有用性を示した.
光エレクトロニクス
本研究によって,電磁波に対するトポロジカル不変量の存在によって,従来のフォトニクス技術では困難だった曲げや欠陥による散乱が抑制される低損失な導波路を実現するための基盤技術を確立し,それが情報通信システムに対して有用であることを示したことは学術的に意義深い.特にデバイス・回路の開発が困難な電磁波領域であるテラヘルツ帯での応用可能性を示したことは,新たな周波数帯の電磁波の利活用につながるため,社会的な意義が大きい.