研究課題/領域番号 |
20H00257
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小熊 久美子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00361527)
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研究分担者 |
春日 郁朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20431794)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 紫外発光ダイオード(UV-LED) / 消毒 / 浄水処理 / 下水再生処理 / 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
分散型の飲用水処理技術としてUV-LED装置を利用することを想定し、水質、気候、社会的背景等の異なる多地点での実証試験を計画した。試験候補地として、これまでに研究連携実績がある協力者の助力を得て、ベトナムの一般家庭、フィリピンの集落井戸、カナダの遠隔地集落、日本の山間集落を挙げ、それぞれに実証試験の実施可能性を具体的に検討した。ただし、海外の候補地3地点については新型コロナウイルス感染症の世界的流行により当面の実施を見送ることとなり、特にフィリピンの集落での実証については協力者及び集落住民の意向により実施を断念した。ベトナムについては、過去にハノイで実施した蛇口取り付け型(Point-of-use, POU型)装置の一般家庭における実証データの再検証を軸に、必要に応じて2023年度以降に追加調査を実施することとした。カナダについては2023年度内の試験実施を目指し、2022年度後半に現地研究協力者とともに準備を再開した。また2022年度後半には、フィリピンでの実証を断念した代替として、アジアの他地域における実証候補地の検討に着手した。一方、国内では、原水水質や気候の異なる3地点で実証試験を実施した。得られた実証データを現地の関係者(行政担当者、集落住民など)に開示し意見交換を定期的に行った。 下水再生処理への展開では、薬剤耐性菌及び薬剤耐性遺伝子への紫外線照射の影響について実験室規模で調査した。紫外線照射によりプラスミドの水平伝達率が有意に変化するか、基礎的実験を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度および2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響により海外での実証を一切実施できず、計画より遅れを取ったが、国内での実証試験を3カ所で実施し一定の知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
UV-LEDを小規模分散型の浄水処理技術として活用する検討を継続する。集落や宅内給水栓など実際の適用場に近い環境のもと、長期的な実証試験を行う。加えて、飲み水以外の処理、例えば水産養殖の水処理などへのUV-LED処理適用についても検討する。数か月から1年程度の連続運転による実証を基本とし、性能の経時変化や装置内汚れの発生などを追跡する。一方、下水再生処理へのUV-LED適用を想定し、UV-LED照射による薬剤耐性菌および薬剤耐性遺伝子を調べる基礎実験を行う。 また、UV-LED技術に関する分野横断の勉強会を立ち上げる。特に、国内のUV-LEDの供給サイドの企業・研究者と需要サイドの企業・研究者が意見交換する場を大学が結節点となって設定し、技術開発の動向や社会ニーズの変化などを多くの関係者が共有できる場とする。
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