研究課題/領域番号 |
20H00259
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片山 浩之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00302779)
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研究分担者 |
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00401141)
端 昭彦 富山県立大学, 工学部, 講師 (70726306)
三浦 尚之 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (70770014)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ウイルス / 水道 / 水環境 |
研究実績の概要 |
従来のRT-qPCRおよびSD-CDDP-(RT-)qPCRを用いて,トウガラシ微斑ウイルス(PMMoV)およびヒトに病原性のある7種類のウイルスの定量を行った。表流水では,PMMoV(100%)が,他のヒト病原性ウイルス(30~60%)よりも高い頻度で検出された。SD-CDDP-(RT-)qPCRでも,無傷のPMMoV(95%)が無傷のヒト病原性ウイルス(20%~45%)よりも多く検出された。水道水サンプルでは,PMMoV(9%)とAiV(5%)を除き,ほとんどの対象ウイルスが従来の(RT-)qPCRでは検出されなかった。 沈澱汚泥の脱水ろ液などの排水を原水として再利用するクローズドシステムを採用した高度浄水処理プロセスにおける病原ウイルスおよびPMMoVの挙動を調査した。脱水ろ液中のPMMoV濃度はおよそ4 log copies/Lであり原水の1%程度であることを明らかにした。凝集沈澱で除去されたウイルスの大部分は汚泥に吸着されたまま系外へ排出されていると考えられた。 Fファージ各遺伝子群の活用に関し,ヒトないしブタ,もしくは両者の汚染が支配的と考えられる河川水を対象とした水質調査を試みた.Fファージ遺伝子群の中でも特にGII群,GIV群の遺伝子はそれぞれ既往のヒト,ブタ汚染マーカー遺伝子と同様の検出傾向を示した.感染価に関してはこの限りでなく,ウイルスの不活化の影響が考えられた. 下水処理工程におけるウイルス低減(除去・不活化)指標および水環境中での糞便・病原微生物の汚染指標としての大腸菌ファージの有効性を評価するため,下水処理場の流入水と2次処理水,放流水,河川水を計26回採取し,体表面吸着大腸菌ファージとF特異大腸菌ファージを定量した。大腸菌ファージの低減率を解析すると共に,下水と河川水から600以上のプラックを単離した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
水道及び水環境中のウイルスの調査を行い、また、それらと同時に存在するウイルス指標の調査を行うことができている。 さらに、新型コロナウイルスの測定法についても新しい知見を得つつあり、これは計画になかったが、社会的に意義が高いので同時並行して進めている研究である。
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今後の研究の推進方策 |
下水と河川水から単離したプラックの遺伝子解析を実施し,遺伝子型レベルでの低減特性や汚染指標としての有効性を評価する。また,病原ウイルスを測定し,大腸菌ファージの指標性を議論する。 既往の動物汚染遺伝子マーカーにないFファージの利点として,感染力評価が容易であり,これにより不活化率も推定可能な点が考えられる.今後は新規の感染力評価手法であるViability RT-qPCRも併用することで,不活化率推定の妥当性や活用法についてさらに検討していく. 新型コロナウイルスの測定法についても検討する。
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