研究課題/領域番号 |
20H00259
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片山 浩之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00302779)
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研究分担者 |
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00401141)
端 昭彦 富山県立大学, 工学部, 准教授 (70726306)
三浦 尚之 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (70770014)
林 豪士 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (80824648)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ウイルス / 下水疫学 / 微生物起源解析 / PCR / 感染性評価 |
研究実績の概要 |
消毒によるエンテロウイルスの不活化動態は、多くの場合、ある遺伝子型の単一実験室株を用いて研究されている。エンテロウイルスの環境変異株は、対応する実験室株とは遺伝的に異なるが、この遺伝的差異が不活化にどのように影響するかは十分に理解されていない。ここでは、9種類のコクサッキーウイルスB3(CVB3)、10種類のコクサッキーウイルスB4(CVB4)、および2種類のエコーウイルス11(E11)について、遊離塩素と紫外線照射(UV)による不活化動態を評価した。遊離塩素による不活化動態は、遺伝子型依存性(すなわち、感受性:CVB5<CVB3::CVB4<E11)および遺伝子群依存性であり、試験したウイルス間で最大15倍の差が認められた。対照的に、UV不活化動態にはわずかな(最大1.3倍)差異しか認められなかった。UVによる不活化は主にゲノムのサイズと組成に依存し、これは試験したすべてのウイルスで同様であった。一方、遊離塩素はウイルスカプシドタンパク質を標的としており、これはジェノグループや遺伝子型によって決定的な違いを示した。最後に、観察された不活化速度定数のばらつきを拡張Chick-Watsonモデルに統合し、エンテロウイルスコンソシアムの全体的な不活化を推定した。その結果、不活化速度定数の分布と各遺伝子型の存在量が、エンテロウイルスコンソシアムの不活化率を正確に推定するために不可欠なパラメータであることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究予定に加え、新型コロナウイルスの測定系の開発を進めており、下水疫学調査を研究対象として拡大して加えている。
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今後の研究の推進方策 |
水の安全性を確保するための水中ウイルス測定に加え、社会的に有意義な情報としての水中ウイルス遺伝子情報についても測定法や測定対象試料を含めて検討し、研究および実測を進める。
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