本研究は、摂氏-30度の低温域から高温1200度までの広帯域環境に適用可能なセメント系無機複合材料の物理化学モデルを構築し、自然及び人工環境下にあるコンクリート構造の耐疲労、耐火、耐震、耐久性能評価を可能とするLife-Time性能評価システムを、非局所化・空間平均化手法に基づく構成則と数値解析によって実現するものである。 細孔内水分が凍結する低温域からセメント硬化体中の結晶水が脱落する火災時高温に至るまで統一した構成モデルで都市基盤構造物の挙動予測を実現しようとする試みであり、高い学術的創造性が認められる。既存都市基盤施設に起り得る未経験の劣化事象等に対して、後手に回ることなく対処する支援数値予測システムの早急な整備が期待される。
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