研究課題/領域番号 |
20H00261
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
李 富生 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (10332686)
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研究分担者 |
魏 永芬 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (00467218)
石黒 泰 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教 (10743891)
山田 俊郎 北海学園大学, 工学部, 教授 (30335103)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高度浄水処理 / 水質安全 / 薬剤耐性遺伝子 / 活性炭吸着 / 生物活性炭 / 塩素処理 / オゾン酸化 |
研究実績の概要 |
生物活性炭処理における薬剤耐性遺伝子の水平伝播の機構を解明するとともに、水源水質、生物膜内の細菌群集構造、細胞外ポリマー、オートインデューサーの産出量との関連、ならびに活性炭の細孔分布、オゾン酸化や塩素酸化などの前処理の影響およびその機構を明らかにする。これらを通して、薬剤耐性菌の抑制も含めた視点から原水の水質特徴に応じた生物活性炭処理プロセスの操作運転条件の最適化手法と高度浄水処理システム全般の運転管理のあり方を提案する。さらに、薬剤耐性菌の付着と増殖を選択的に排除する効果を付加した機能性活性炭の開発を行う。 そのため、本年度は以下の研究を行った。 原料や賦活方法が異なる活性炭8種類の細孔分布と表面荷電特性について比較検討を行った。その上で、吸着実験を行い、薬剤耐性遺伝子の濃度は時間に伴って低下し、比較的短い時間で吸着が平衡に至ることが分かった。また、吸着のサイトは主に活性炭表面と其処からの浅い大きな細孔内に分布することが考察された。また、活性炭の細孔分布の違いにより吸着に差があることが示された。 数種類の耐性遺伝子をコードしたプラスミドに対する水処理実験、吸着した活性炭を用いた感受性大腸菌の培養実験を行い、吸着された耐性遺伝子の挙動と運命、感染性の変化について検討を行った。 浄水場の各処理工程、河川の河床から生物膜と水のサンプルを採取し、微生物群集、細胞外高分子有機物の濃度、薬剤耐性菌の濃度の分析を行うとともに、関連性の評価を行った。 浄水処理システムにおけるオゾン酸化・塩素酸化などの前処理条件の影響について準備検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薬品など消耗品の調達に時間がかかった時もあったが、修士・博士の両課程の大学院生による協力者の増員などにより、実の浄水処理施設での調査研究、室内での実験研究を概ね計画に従って進めることができた。得た結果を学術論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
活性炭表面特性、活性炭表面に形成される生物膜の性状について、新しい指標による分析・評価を探究する。 活性炭表面の改質、耐性遺伝子・耐性菌の伝播抑制に寄与する不活化効果を持つ成分の導入に関し、性状と構造の解析・評価をしっかり行い、効果との関連をしっかり解析し、メカニズムの解明を試みる。 現場の条件に対応して、吸着プロセスの実験条件を策定し、対応した実験を進める。
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