研究課題/領域番号 |
20H00264
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
肥後 陽介 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10444449)
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研究分担者 |
音田 慎一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50402970)
高野 大樹 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (80626218)
大竹 雄 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90598822)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロバスト性 / 河川堤防 / マルチハザード / 侵食 / 地震 |
研究実績の概要 |
トランスパレントソイル(TS)を用いた侵食実験:単純斜面での侵食実験を実施する.シリカとヨウ化ナトリウム溶液の屈折率を同期させるTS実験技術により浸透による飽和領域を可視化し,表面侵食メカニズムを検討した.また,堤防模型の越流侵食実験をTSを用いて実施し,越流侵食による破堤の過程における,堤防の形状変化,浸透挙動,間隙水圧を経時的に記録する.実験条件は,流速,裏法面傾斜,天端幅,材料を変化させて実施した. 土の構成式を用いた表面侵食のモデル化:浸透による有効応力の減少を多相連成法,せん断破壊をサクションの影響を考慮した弾塑性構成式で表現し,表面侵食をモデル化した.これらを土の離脱を表現可能な粒子法であるMaterial Point Method (MPM)に適用し,掃流力を外力とした実験の再現解析により,提案モデルの有効性を検証した. 地震時における堤防破壊過程の数値解析技術:不飽和堤防から飽和した基礎地盤の液状化挙動を統一的に解析可能な多相連成MPMを用いて,確率論的アプローチのため,実験計画法に基づき決定した様々な土質パラメータでの解析を実施した. 越流時における堤防破壊過程の数値解析技術:FVM解析で得られる堤体表面に作用する掃流力および堤体内の間隙水圧の解析結果を,MPM解析の外力として用い,堤体の侵食および形状を解析する手法(逐次連成解析)を開発する.実験のシミュレーションを実施し,実験結果との比較から解析手法の妥当性を検証を試みた. 地震時の詳細解析法の代替モデル構築:上記モデルに,入力地震動の不確実性を考慮し,地盤物性と外力の双方の不確実性を考慮したUQ解析法に拡張した.多数の数値解析を実施し,線形代替モデルによる破壊形態の確率評価の有効性を検証した. 実験結果に基づく代替モデル構築:実験での記録を出力とし,実験条件を入力として,代替モデルを構築した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トランスパレントソイル(TS)を用いた侵食実験では,単純斜面での侵食実験,堤防模型の越流侵食実験をTSを用いて実施する計画であったが,パンデミックの影響で実験計画に大幅な遅れが生じた.令和3年,令和4年に補助金を繰越し,実験を実施した. 土の構成式を用いた表面侵食のモデル化,地震時における堤防破壊過程の数値解析技術,越流時における堤防破壊過程の数値解析技術,については概ね計画通りに研究が進捗したが,実験結果との比較から解析手法の妥当性を検証については,既往の実験結果を用いて試みた. 実験結果に基づく代替モデル構築についても,実験結果が取得されていないため,既往の実験結果を用いて,代替モデルを構築した
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今後の研究の推進方策 |
■トランスパレントソイル(TS)を用いた単純斜面侵食実験および堤防模型の越流侵食実験:単純斜面での侵食実験を実施する.土粒子と間隙流体の屈折率を同期させるTS実験技術により浸透による飽和領域を可視化する.高速度カメラで取得した画像を用いた画像相関法(DIC)によりせん断ひずみ場を解析する.これらにより,表面侵食メカニズムを明らかにする.また,堤防模型の越流侵食実験をTSを用いて実施し,越流侵食による破堤の過程における,堤防の形状変化,浸透挙動,間隙水圧を経時的に記録する.実験条件は,流速,裏法面傾斜,天端幅,材料を変化させて実施する. ■土の構成式を用いた表面侵食のモデル化と越流時における堤防破壊過程の数値解析技術の開発:浸透による有効応力の減少を多相連成法,せん断破壊をサクションの影響を考慮した弾塑性構成式で表現し,表面侵食をモデル化する.これらを土の離脱を表現可能な粒子法であるMPMに適用する.FVM解析で得られる堤体表面に作用する掃流力および堤体内の間隙水圧の解析結果を,開発したMPM解析の外力として用い,堤体の侵食および形状を解析する手法を開発する. ■地震時の詳細解析法および越流時の実験結果に基づく代替モデル構築:上記モデルに,入力地震動の不確実性を考慮し,地盤物性と外力の双方の不確実性を考慮したUQ解析法に拡張する.多数の数値解析を実施し,線形代替モデルによる破壊形態の確率評価の有効性を検証する.また,実験での記録を出力とし,実験条件を入力として,代替モデルを構築する. ■地震時/越流時の堤防のロバスト性評価手法:偶発荷重(L2地震/越流)時における設計外力(外力規模,継続時間等)の不確実性を確率変数として取り扱い,多数の組み合わせシナリオについて代替モデルで解析によって,堤防が致命的な破壊シナリオに至る確率変数の組み合わせを抽出する.
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