研究課題/領域番号 |
20H00268
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高井 伸雄 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10281792)
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研究分担者 |
越川 武晃 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10399983)
前田 宜浩 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 主任研究員 (00594160)
地元 孝輔 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (40713409)
神野 達夫 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (80363026)
重藤 迪子 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (90708463)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中規模地震 / 2018年北海道胆振東部地震 / 地下構造 / 内陸地震 / スラブ内地震 / プレート境界地震 |
研究実績の概要 |
【地震動・地下構造・地震被害データベース構築】解析に用いる2018年北海道胆振東部地震の余震を含めた強震記録の収集および整理を行った.また,プレート境界・プレート内で発生する中規模地震に関しての解析を1973年根室半島沖地震の震源域で強震観測記録を基に実施し,プレート境界地震とプレート内地震の短周期励起特性の違い等を把握した.また,国内で近年被害が発生した2016年4月14日熊本地震(MJMA 6.5,最大震度7),2016年10月21日鳥取県中部の地震(MJMA 6.6,最大震度6弱),2018年6月18日大阪北部の地震(MJMA 6.1,最大震度6弱)等の内陸中地震の記録・被害の収集に着手した.加えて,当該地域の防災科学技術研究所のJ-SHIS等の全国レベル公開されている地下構造モデルに加え,付近で実施されて公開されている既往の速度構造探査の結果を収集し整理した. 【2018年北海道胆振東部地震の震央付近の1次元地下構造モデルの構築】本研究グループが既に推定済みであるHKD126観測点に加え,震度7が記録された気象庁鹿沼観測点から直後に臨時余震観測点を設置した地域,および周期2~3秒が卓越したIBUH03から余震観測点HUE01への地域で地震記録を用いた自己相関関数等の解析を実施し,既存の地下構造モデルの検討を実施した.また,浅部地下構造探査の精度の確認のため,2020年10月から2021年3月にかけて北見市で7点同時微動アレイ探査と表面波探査により,浅部探査結果の季節変動に関する検討を実施した.10月と比較して厳冬期は位相速度が高くなることが確認出来,表層探査の問題点等が指摘でき,地震動の高周波数側への影響把握の基礎データの蓄積がなされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた対象とする地震データの収集等が実施できている.また,地域の観測地点での地下構造探査の実施に加え,2018年北海道胆振東部地震における地震動による木造被害集中地域での危険な強震動に関して, むかわ町付近に於いて地震発生直後に実施した臨時余震強震観測の記録を基に,付近の地下構造の再検討が実施できている.また,北海道内に集中して地下構造探査の精度検証も実施できている. このように,当初予定していた新規に導入した計測機器を用いた観測点の浅部探査等に関しては大きく進展,進行している.しかし,社会情勢を反映して,学会等による議論が非常に困難であり,予定通りに十分な対面による資料収集・情報発信がなされたとは言えない.
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今後の研究の推進方策 |
【地震動・地下構造・地震被害データベース構築】2020年に引き続き,解析に用いる本地震の余震を含めた強震記録の収集および整理をすすめる.国内で近年被害が発生した内陸中地震の記録・被害の収集,付近で実施されて公開されている既往の速度構造探査の結果の収集・整理も継続する. これらは各地で分担者がオンラインデータベース等を用いて実施する. 【2018年北海道胆振東部地震の震央付近の地下構造モデルの構築】2020年度に実施した強震・微動観測点直下の1次元S波速度構造モデルを推定に基づき,震央付近の2,3次元地下構造モデルの構築を実施する.2020年度による強震観測点、余震観測点を含む地域で高密度に推定した1次元S波速度構造を接続・補間することで2次元,3次元の構造へと展開しモデル化する.2020年に実施した解析に基づき,観測が必要な地点に関しては,主に代表者を中心としたグループで微動・表面波探査等を実施する. 【2018年北海道胆振東部地震等の震源モデルの構築】入手可能な断層破壊モデルを収集し,それら断層破壊モデルを参考にしつつ,広帯域震源モデルを求める.原則,2020年までに蓄積されたデータを用いての解析が実施される.また,分担者により担当地域の中程度の地震の既往研究による震源モデルの収集にも着手する.
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