研究課題/領域番号 |
20H00276
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
林 基哉 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40320600)
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研究分担者 |
金 勲 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (00454033)
菊田 弘輝 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20431322)
山田 裕巳 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (30610787) [辞退]
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
稲葉 洋平 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (80446583)
東 賢一 近畿大学, 医学部, 准教授 (80469246)
田島 昌樹 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (90391680)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シックハウス / 常時換気システム / 生活リテラシー / 省エネルギー / 住宅構法 |
研究実績の概要 |
本研究「住宅における機械換気の実質効果と健康リスク影響に関する調査研究」の目的は、2003年の建築基準法改正によって義務化された常時換気設備の実質効果を検証し、シックハウス症候群の予防レベルを高めることにある。本研究は、以下の3つの研究で構成されている。①常時換気と室内空気質に関する実態調査(600件×4季)②室内空気質と健康リスクに関する調査分析(600件)③常時換気による室内空気質改善に関する分析。以上により、常時換気及び室内空気質の実態を明らかにし、シックハウス症候群の予防レベルを高めるために常時換気及び住宅構法に求められる条件を示し、今後の啓発及び規制等の施策に資する知見を示す。 ①常時換気と室内空気質に関する実態調査では、室内空気質の形成機序を踏まえ、室内空気質形成要因(住宅構法、断熱気密性、常時換気・換気暖冷房等の運転状況、生活習慣等)と室内空気環境データを入手し、分析を行う。2020年度は、新築戸建住宅2116件を対象にアンケート調査を行った。 ②室内空気質と健康リスクに関する調査分析 上記の対象に、シックハウスに関連する健康状態についてアンケート調査を行う。研究①の回答及び測定結果に、健康状態に関する回答を加え、重回帰によって健康要因と症状に対する影響程度に関する分析を行い、常時換気が健康影響の低減に寄与しているかを確認した上で、健康影響低減に対する実質効果及び効果低減要因の抽出を行うためのアンケート方法の検討を行った。 ③常時換気による室内空気質改善に関する分析 常時換気効果の低減要因について、その要因の除去の可能性について、モデルスタディーを行う。改善策が取り入れられた住宅を調査し、岩手県と北海道の10件を対象に空気質形成要因に関するヒアリング、換気性状及び室内空気環境の測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、本研究の対象である常時換気の使用状況、生活リテラシーが影響された可能性があるとともに、調査対象への訪問が難しい状況が発生した。このため、以下のように実施をした。 ①常時換気と室内空気質に関する実態調査については、室内空気質形成要因(住宅構法、断熱気密性、常時換気・換気暖冷房等の運転状況、生活習慣等)と室内空気環境データを入手し、分析を行うための予備調査を、岩手県の建売住宅7棟、北海道の実験棟2棟などを用いて行った。また、2116件を対象に室内空気形成要因に関するWebアンケート調査を行った。埼玉県衛生研究所の竹熊美貴子氏の協力により、分析環境の構築を行うと共に、国立保健医療科学院にてパッシブサンプラーによる測定法の検証を行った。新築戸建住宅600件を対象にWeb調査を行い、常時換気及び生活リテラシーに関するする実態に関する情報を入手し、生活リテラシーと健康リスクに関する分析を行った。 ②室内空気質と健康リスクに関する調査分析については、健康影響に関する分析方法を検討し、室内の化学物質濃度の測定結果とアンケート調査から、健康影響への影響要因を分析を行う方法を検討した。健康影響に関しては、既往の健康リスクの評価方法を用いた分析も行うこととした。 ③常時換気による室内空気質改善に関する分析については、常時換気効果の低減要因について、その要因の除去の可能性について、モデルスタディーを行う。改善策が取り入れられた住宅を調査し、岩手県及び北海道の10件で空気質形成要因に関するヒアリング、換気性状及び室内空気環境の測定を行った。化学物質の分析は、埼玉衛生研究所及び国立保健医療科学院で実施した。
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今後の研究の推進方策 |
①常時換気と室内空気質に関する実態調査については、夏期のアンケート調査を実施するととともに、夏期及冬期にパッシブサンプラーを用いた室内化学物質濃度の測定を実施する。これらのデータを用いて、住宅及び常時換気設備、生活リテラシーと室内化学物質の室内濃度の状況を整理し、2022年度以降の調査分析方法を再確認する。 ②室内空気質と健康リスクに関する調査分析では、シックハウスに関連する健康状態に関するアンケート調査を、①と同時に行う。健康影響低減に対する実質効果及び効果低減要因の抽出を行う。 ③常時換気による室内空気質改善に関する分析では、常時換気効果の低減要因について、その要因の除去の可能性について、モデルスタディーを行う。改善策が取り入れられた住宅を、2020年度調査対象に加えて調査し、空気質形成要因に関するヒアリング、換気性状及び室内空気環境の測定を行う。対象は、関東及び四国等の対象を選定する。
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