研究課題/領域番号 |
20H00281
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
坂本 啓 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40516001)
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研究分担者 |
戸村 崇 東京工業大学, 工学院, 助教 (10803992)
白根 篤史 東京工業大学, 工学院, 助教 (40825254)
岡田 健一 東京工業大学, 工学院, 教授 (70361772)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 宇宙構造物 / 展開構造 / 膜構造 / 小型衛星 / アレーアンテナ / ビームフォーミング |
研究実績の概要 |
本研究は平織りの織物上にアンテナ素子を貼付し、折り紙技術を用いて極めてコンパクトに収納できる、これまでになく軽量・高収納率の宇宙用展開アレーアンテナを、電気的位相調整機能を持つアクティブアレーアンテナおよびリフレクトアレーアンテナをそれぞれ用いることで構造への精度要求を下げる、という独自のアプローチにより実現するものである。現状、基礎概念検証レベルにある技術を、本研究期間内で宇宙実証機搭載のレベルにまで引き上げる。これまでの衛星用アレーアンテナでは、アンテナ面の高い面精度要求から剛な支持構造が使用され軽量・小型化が阻害されてきた。本研究では、構造系と電気系の研究者が同一システムを同一拠点で基本原理解明から宇宙実証機への実装までを協業するコンカレントエンジニアリングを通じ、新たな解決を実現する。
2020年度は (1)膜面アレーアンテナの構造系設計、(2)非平面に対応するアレーアンテナ電気系設計、(3) 宇宙実証機の開発、の3つに取り組んだ。アレーアンテナの方式としては、(a)アクティブアレーと(b)リフレクトアレーの2つの方式を並行して開発した。(1)については、(1a) アクティブアレーを膜面上に搭載した時の放射線対策、大電流に対応する膜上ハーネス設計、を実施した。(1b)リフレクトアレーについては2層膜を収納・展開する機構を考案した。(2)については、(2a)アクティブアレーにおけるビームフォーミングを用いた非平面度補償を実験的に実施し、(2b)膜面リフレクトアレーを電磁界解析により設計した。(3)については、(3a) 本研究の膜上アクティブアレーがJAXA革新的衛星技術実証3号機における実証コンポーネントとして選定され、宇宙実証機を開発した。(3b)リフレクトアレーについては3Uキューブサットでの宇宙実証を目指し衛星システムを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
宇宙航空研究開発機構の宇宙実証コンポーネントの公募に本研究を含む提案が採択され、2022年(予定)の宇宙実証が決定した。これに伴い、宇宙実証機器の開発が加速した。
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今後の研究の推進方策 |
宇宙実証の機会が具体的に決まると、関わる研究者・学生たちのモチベーションが顕著に向上する傾向がある。アクティブアレー方式については2022年(予定)の宇宙実証が予定されている。そこで、リフレクトアレー方式のキューブサット宇宙実証についても2024年開発完了を目指す。さらに、アクティブアレー方式についても、次の段階の大型アレーの宇宙実証計画を具体化する。
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